写真提供:古代戦車さん

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車椅子で車の運転して移動した先、こうなってるとしんどい」――。車いすの利用者がツイッターでそんな悩みを告白したところ、リツイート6000件超の反響を呼んでいる。

車を障害者用駐車スペースに停めようとした投稿者。スペースの中央に車いすマークの三角コーンが置いてあり、ひとまず動かさざるを得ない。だが、それは本人にしてみれば「試練」以外の何物でもない。

警備員がいる場合は?

投稿者は、車いす利用歴3年の「古代戦車」さんだ。ツイッターで2018年4月17日、「車椅子で車の運転して移動した先、こうなってるとしんどい」と投稿。ショッピングモールの駐車場などにある障害者用駐車スペースを撮影した写真も公開した。駐車スペースの中央にあるのは、車いすマークの三角コーンだ。

この三角コーンを置く目的は、一般の利用者が障害者用のスペースに停めることを防ぐためだ。だがこうして中央に置いていると、本来その場所を必要とする人の妨げとなってしまう。「どうすれば良いんだろう...」「コレは確かに。本末転倒だよね...」など、古代戦車さんのツイートは大きな反響を呼んだ。

この場合、古代戦車さんはどのように駐車しているのか。J-CASTニュースの取材に「お店の前の駐車場であった場合や、警備員や誘導員の方がいる場合、近くに他の人が駐車場にいる場合は、声をかけてコーンを退けてもらいます」と明かした。「ありがたいことに、ほとんどの方は快く引き受けてくれる」という。

問題は、駐車場の周りに誰もいない時だ。「駐車スペースの前でハザードをたき、停車します。車いすを下ろし、パイロンを退かした後、再び車いすを積み、駐車します」。仮に、隣の「ゼブラゾーン」を共有する駐車スペースが空いていれば、専用スペースでなくそこに駐車する。

「法令上は規定がない。それが実態です」

古代戦車さんが車いす利用者として本格的な運転を開始したのは、約1年前だ。健常者と同じようにフットペダルとハンドルで運転しており、車の乗り降りに約3、4分を要する。だが、三角コーンのある駐車スペースに停めるとなれば、最大で約17、8分はかかるという。

「専用スペースがそもそもない場合や優先スペース(一般の車も停める場合がある)しかない場合、あらかじめ駐車場に連絡し、スペースの確保をお願いすることがあります」と説明。その上で、

「専用スペースがない方が、よほど楽です。ドライバー全体のモラルが向上し、専用スペースに車が停まっていると、『きっと必要な人だから停めているのだろう』と皆が思えるような社会になれば。あとは未来の技術に期待ですね」

と取材に答えていた。

障害者用駐車スペースに三角コーンを置く方法について、国はどんな規定を設けているのか。国土交通省総合政策局の安心生活政策課はJ-CASTニュースの取材に「法令上は規定がない。それが実態です」と話す。

「健常者の方がそこに停めないよう、駐車施設の管理者や市町村が三角コーンを置くことを推奨している場合があるとは聞きますが」

自治体レベルで当事者の意見を反映

一部の自治体では、公式サイトで三角コーンの置き方を解説している。

たとえば埼玉県の公式サイトでは、「必要があってパイロン等を置く場合は、駐車区画中央部ではなく、駐車区画横のゼブラゾーンに置き、車いす使用者等が自動車から降り建築物の出入口に至る動線に影響がない位置に配置します」とある。

埼玉県福祉政策課の担当者は、J-CASTニュースの取材に「障害者用駐車スペースの当事者の方から受けた意見を、県の取り組みに反映した一環だと思われます」と説明していた。