高額なチップをカードから引き落とされてしまった女性(画像は『Metro 2018年5月1日付「Woman accidentally gave kebab shop staff £5,650 tip when she entered her pin number」(Picture: CEN)』のスクリーンショット)

写真拡大

ヨーロッパではレストランやカフェで会計時にチップを支払わなくても問題がない国が多いが、やはりチップを渡す人も少なからず存在する。このほどフランスからスイスを訪れた1人の女性が、旅先の店でとんでもない金額のチップを払ってしまうミスをしてしまった。『20 Minuten』『Blick』『The Local Switzerland』などが伝えている。

ロシア国籍でフランス東部ミュルーズに住むオレスヤ・シエムヤコヴァさん(37歳)は2月中旬、息子と一緒にスイス・チューリッヒ郊外のディエティコンを訪れ、ケバブカフェ「New Point」でドリンクとチョコレートケーキを注文した。飲食代23.70フラン(約2,600円)をクレジットカードで支払おうとしたオレスヤさんがカード端末機に暗証番号を入力すると正常に作動せず、2回目に暗証番号を入力したところで決済が完了した。しかしその2週間後、オレスヤさんはカード会社の請求書を見て驚かされることになった。

請求書には、23.70フランの引き落としがなされるはずの金額が7,686フラン(約842,000円)となっており、ドリンクとケーキ代に加えて7662.30フラン(約839,400円)もの高額なチップを支払ったことになっていた。驚愕したオレスヤさんはカード会社とディエティコンの警察に連絡したが、カード会社が詐欺として取り扱わない以上は警察では犯罪事件として対応できないといった返事があったという。

なぜこのようなことが起こったのか。端末機のスクリーンには、客側が支払金額を入力する仕組みになっていた。チップを店側に渡す意思があるのであれば、チップ代とあわせて会計を入力しなければならなかったところを、オレスヤさんは自分の暗証番号「7686」を入力してしまったのだ。

暗証番号を入力して、再び「暗証番号を入力してください」というようなメッセージがスクリーンに出たことから、一回目の入力がうまく作動しなかったと理解したオレスヤさんは、2度目に「7686」を再入力し決済を完了させたのである。カード会社から送られてきた請求書で、初めて1度目の暗証番号の入力がミスであったことを知ったそうだ。

オレスヤさんは、ミスで払ってしまった多額のチップの返金を求めてケバブカフェに連絡した。地元メディア『20 Minuten』によると、店主の兄という人物が「マネージャーの弟は現在トルコに行っている。多額のチップにはこちらも驚いた。一定額の支払いを超えると受け付けられないから大丈夫、すぐに返金されると思う」と話していたようだ。さらにオレスヤさんは店側から3月末までにチップ代全額を返金すると約束されたが、それが実現することはなかった。そして3月末に、店側はオレスヤさんのメールや電話に一切応じなくなった。しかも破産宣告をして、3月初旬に店を閉めていたことが明らかとなったのである。

オレスヤさんは「チップ代を返すという言葉が空約束でなければいいのですが」と不安を隠せない。スイスでは飲食店でチップを支払わなければならないという決まりはないが、多くの人が習慣として少額の会計時には1フラン(約110円)を、多額の支払い時には10フラン近くをチップとして渡しているという。

このニュースを知った人からは「いい授業料になったのでは。今度から2回暗証番号を入力したらダメだということ。おかしいなと思ったら一度端末機からカードを抜いてやり直した方がいい」「それにしても飲み物とケーキ代でそんなにするの? 完全にぼったくりだね」「返金してもらえるのかな。頑張って」「こういうことがあるから気を付けないといけないんだよね」といった声があがっている。

画像は『Metro 2018年5月1日付「Woman accidentally gave kebab shop staff £5,650 tip when she entered her pin number」(Picture: CEN)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)