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若い頃に戻ってやり直したい……。そんな後悔をしないために、どんな準備が必要か。「プレジデント」(2018年1月1日号)では、60歳以上の男性120人に、健康や家計など6つのジャンルの「後悔」についてアンケート調査。その結果を識者に考察してもらった。第1回は「健康」について――。

■まず気をつけてほしいのは運動

体は衰えてきているのに、頭の中は30代のまま。若い頃と同じ感覚で暴飲暴食をしたり、睡眠を削って無理をする40代が少なくありません。しかし、いまは何とかやっていけたとしても、不摂生を続けると10年後にツケを払わされることになります。

とくに40代になって尿路結石ができたり痛風になった人は、生活習慣を見直す警鐘だと考えてください。まだ軽症だと笑い話で済ませているかもしれませんが、軽い病気は小手試し。そのままの生活を続けると、50代以降に心筋梗塞や脳梗塞、または大腸がんなどの大波がやってきます。生活を見直すなら今です。

まず気をつけてほしいのは運動です。40代になって体がだるくなり、うつを疑って精神科や心療内科にいく人がいますが、本当は男性の更年期障害だったというケースが珍しくありません。男性の更年期障害は男性ホルモンの低下とともに起こり、男性ホルモンは運動と密接な関係があります。デスクワーク中心だったり、外に出てもすぐタクシーに乗るビジネスパーソンは要注意。ジムに通えれば理想的ですが、忙しくてその時間がないなら、歩く距離を長くすることを心がけてください。

■なぜ沖縄は長寿ワースト2位に落ち込んだのか

つきあいで飲むお酒もほどほどにすべきです。酒は百薬の長と言いますが、本当は飲めないくらいがちょうどいい。ワインは心臓血管病予防にいいと言われていますが、かわりに肝臓がんが増えることも指摘されています。適量ならば問題ないというのも鵜呑みにしてはダメ。国際基準として1日に男性2合、女性1合と言われていますが、日本民族のアルコール分解能力は世界最下位。国際基準の量では、飲みすぎになっているかもしれません。

食事ではジャンクフードを控えること。沖縄県はかつて長寿で知られていましたが、食文化の西欧化に伴い、心臓血管病が増加。いまでは長寿県のワースト2位です(2015年)。外食が中心になりファストフードが増えると栄養の偏りが起きてしまい、様々な体の不調の原因となります。

■誰でもできるとっておきの健康法

最後に誰でもできるとっておきの健康法を1つ。それは歯磨きを中心とした口腔ケアです。最近の研究で、歯科領域の病気と全身の病気は強くリンクしていることがわかってきました。とくに歯周病や根管感染では細菌が全身に回って、糖尿病などの全身病になりやすくなります。歯周病ケア、口腔内ケアは誰でも手軽にできて、しかも安あがり。定期的に歯科医の検診を受けながら健康管理を行いましょう。

▼40代に戻れるなら、何を一番大切にしたいか?
●歯の手入れをすべきだった。虫歯が悪化して所々歯抜けでよく噛めないし、食べ物も味わえない(愛知県)
●24時間ほとんど眠れない当直業務を断ればよかった。体調が戻るのに一週間かかり、戻った頃にまた当直業務。睡眠不足で思考力がなくなり、物事を考えることができなくなった(千葉県)
●運動と食事制限をしていれば糖尿病にならずにすんだだろう(兵庫県)
●トレッキングなど脚の筋肉が弱らないように心がけるべきだった(福島県)
●適度な運動を通じて体力を維持すること。ゴルフをするくらいではほとんど意味がない(愛知県)

調査概要●「60歳以上の男性120名の後悔」はインターネット調査によって、一般男性より回答を得た。調査日は2017年11月16〜17日。「識者の後悔&アドバイス」は第一線で活躍するベテランの専門家50人に依頼、10人より回答を得た。(調査協力=NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション)

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満尾 正
満尾クリニック院長
北海道大学医学部卒業。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員など経て同院開設。

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(満尾クリニック院長 満尾 正 構成=村上 敬、山本菜々子 写真=iStock.com)