東京・新宿MARZで発売記念ライブ『Lily’s Blow 泥沼レコ発ワンマンライヴ』を開催したLily's Blow

　ボーカリストNANAのプロジェクトLily's Blowが９月20日に、東京・新宿MARZで発売記念ライブ『Lily’s Blow 泥沼レコ発ワンマンライヴ』を開催した。2ndシングル「花の影／泥沼Break Down」を発売を記念しおこなうというもの。MCで「今日は私のいろんな感情をドロドロにしてヌメヌメにしてみんなにぶつけるから、しっかり受け止めてね」と話したNANAは、インディーズ時代のナンバーから初披露の新曲まで全15曲を披露。すべてを出し尽くして、メジャーデビュー後初ワンマンとなったこの日を成功させた。

大切な人の顔を浮かべて聴いてください

Lily's Blow

　ライブはメジャー1stシングルのカップリング曲「Who is the Devil?」で幕を開けた。アッパーのサウンドに手拍子とかけ声がかかり、NANAは長い足をモニタにかけ、前のめりになって客席に声を飛ばす。黒のスリムパンツに白のドクターマーチン。その姿は、ロックボーカリスト然とした、実に凛とした佇まいだ。

　この日に発売されたシングルの１曲「花の影」は、アッパーのロックチューンで観客も手拍子しながらリズムに乗って楽しんだ。曲のキメやブレイクなど、タイミングが重要なところでは後ろを向いて、レーベルメイトのガールズバンド“Chelsy”のAMI（Dr）を中心としたサポートバンドのメンバーとアイコンタクトを取り、熱い演奏に背中を押されるようにして、NANAの歌声もぐんぐん熱を増していった。同様シングルの１曲「泥沼Break Down」は、一転満面の笑顔を振りまきながら歌った。ステージを歩き周り、観客の一人一人に視線を送るようにして歌ったNANA。時にはちょっとセクシーに体を揺らしたり、サウンドのキメでポーズを取ったりと、はっちゃけた歌詞をお茶目に表現した。そんなところからも、この日のステージを楽しんでいる様子が見て取れた。

　終始身振り手振りを加えながら、情感をたっぷり込めて歌ったNANA。圧巻だったのは、中盤に披露したミディアムバラードだ。新曲の「ねぇ」を披露する時には、「人の命、形、必ず終わりが来るもの。考えると悲しいけど、何が悲しいって大切な人の記憶から消えてなくなることが一番悲しい。みんなも大切な人の顔を浮かべて聴いてください」と話したNANA。しっとりとしたロックバラードで、よりエモーショナルに歌うサビは、まるで心の底からの叫びのようだ。時にはファルセットも効かせ、実に胸に響く歌声だった。それに相対する泣きのギターソロも絶妙で、往年のロックバンド然とした演奏と訥々と言葉を吐き出すように歌われたメロディが、渾然一体となって観客の心を締め付けた。中には目を閉じてジッと聴き入るファンもいた。

何度だってやり直してやって行ける、それが人生

Lily's Blow

　この日は他に、「どこよりも誰よりも早いクリスマスソングをお届けします」と、跳ねたビートのダンスチューン「Happy Xmas」を披露した他、総合格闘技「パンクラスLIVE」のテーマソングに決定した「This Life」、上京したばかりのことを描いたと紹介した「Blue Jean」なども披露。

　「This Life」は、歌う前に「人生は何度でもやり直すことが出来る。大きな後悔、小さな後悔、あの時に帰ってやり直したいと思うことは誰にでもある。でも無傷ではいられない。何もなかったことのようにやり直すことは出来ない。それでも何度だってやり直してやって行ける。それが人生だ」と話したNANA。熱いアッパーのロックチューンに乗せてワイルドなボーカルを聴かせ、声が枯れそうになってもそれでも歌う姿は、まさしく傷だらけのヒーローといった感じだった。

　今年メジャーデビューしたばかりのLily's Blow。この日のライブでは、多くののびしろを感じた。特にバラードの表現力は群を抜くものがあったように思う。音楽業界では、バラードが良いロックバンドやアーティストは間違いないとされている。その点でLily's Blowは、期待に応えられるだけのポテンシャルを持っている。どこかで何かの瞬間に、そのポテンシャルがバツッと発揮される日が来るはず。その日を見逃さずに目撃したい、と思わせるライブだった。

（取材＝榑林史章）

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セットリスト

９月20日（水）Lily’s Blow「泥沼レコ発ワンマンライヴ」
01 Who is the Devil?
02 Driver
03 I can’t forget you
04 Road
05 Loved you
06 花の影
07 泥沼 Break Down
08 ねぇ
09 Hello Good-Bye
10 Happy Xmas
11 Don’t Make Me
12 This Life
13 Blue Jean
14 Ready to go
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