中国は「世界の工場」として、ありとあらゆる製品を世界各国に輸出してきた。だが近年は、人件費の上昇などを背景に、中国から東南アジアへ工場を移転させる企業も増えており、中国の世界の工場としての地位は揺らぎつつある。中国メディアの北京時間は26日、米国在住の華人による手記として「米国市場からメイド・イン・チャイナが姿を消した」と伝えている。

 記事は、米国で娘を育てる華人女性の見解として「米国のスポーツ用品店で購入したスポーツウェア7点のうち、メイド・イン・チャイナはわずか1点だけだった」と伝え、米国で販売されている有名スポーツブランドの製品の多くは「もうメイド・イン・チャイナではなくなっている」ことを紹介した。

 続けて、華人女性が購入したナイキやアディダスといったブランドの製品について、生産地が記されているタグの写真を掲載したうえで「ベトナム製」や「インドネシア製」、さらには「エジプト製」、「バングラデシュ製」、「タイ製」などであったことを紹介。

 さらに「かつて米国で販売される有名スポーツブランドの製品はほとんどすべてが中国製」だったとしながらも、中国製がこれだけ減少しているということは「こうしたブランドは中国撤退を完了させ、他国で順調に生産を行っているということ」だと論じた。

 また記事は、有名スポーツブランドのみならず、世界の家電メーカーや電子機器メーカーも相次いで中国から撤退し、人件費の安いアジア諸国に工場を移転させていることを伝える一方、「中国の製造業は今なお付加価値の低い産業チェーン末端に位置している」と指摘。技術力が市場の発展に追いついていないにもかかわらず、米国市場でこれだけ「メイド・イン・チャイナが姿を消してしまった」ことは中国の製造業が極めて深刻な問題に直面していることを意味すると指摘している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)