画像提供:Kさん

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両親の住む実家をたたむ体験をした、Kさんの事例を紹介。前編は実家を手放すと決めた経緯と、両親が住むための賃貸住宅探しを紹介した。後編は実家をたたむ過程の一番の難関である「実家の片付け」を紹介しよう。

実家の家財の処分に、焼却施設まで車で17往復

実家の整理と売却を担当することになったKさん。不動産会社から「家財の処分をしないと実家の売却ができない」と言われた一方で、両親の家財の整理は進まないことに困惑した。要・不要の判断がなかなかできないうえ、体力的に物を移動させることが難しかったからだ。不用品回収業者に見積もりを取ってもみたが、費用は60万円と高額なうえ選別せずにただ処分するだけということなので、Kさんは自分でやろうと決めた。

家財の処分で決めたことは2つある。
(1)ルールを決めて振り分ける
・家族の思い出の品は残す
・貴重品に該当するものは残す
それ以外は処分する
(2)処分方法に迷うものはその都度スマホで撮影し、兄と姉にSNSを活用して即時に意見を求める

両親が住む新居には、必要な家具家電を新たに買いそろえることにしたので、実家の家財は基本的にはほとんど処分するのが前提だ。祖父の図書資料などは価値がありそうだったので、地元の図書館に寄付を決めた。契約書類は確認して、不要な契約は解除した。兄や姉、Kさんがそれぞれ手元に置きたいものも選別していった。

【画像1】なかなか片付かない実家(画像提供:Kさん)

こうしてKさんは4月の週末に2回帰省し、GWに入ってからも2日間をかけて、家財を振り分けてまとめ、1トントラックを借りて焼却施設に持ち込み、処分を依頼することの繰り返しで、実に17往復をした。ただし、大型家具だけは、処分を業者に10万円で委託した。

【画像2】片付ける前の今の様子(画像提供:Kさん)

【画像3】居間になっていた居室を片付けたらこの広さになった(画像提供:Kさん)

【画像4】ダイニングルームも大型家具のみを残せばすっきり(画像提供:Kさん)

いよいよ引越し。でもまだ荷物が多い

実は家財の処分については、母は新居に持ち込んだり近所にあげたりして、捨てずに取っておきたい気持ちが強かった。引越し当日は「ご近所とのお別れタイム」を3時間設けたが、ご近所さんがそれより前から集まってくれて、一部の家財を引き取ってくれたりもした。

それでも母が「布団は捨てられない」などとこだわったので、引越し荷物は単身引越しパック3個分とかなり多くなった。とりあえず新居まで運んでしまい、到着したら新居の広さと荷物の量を両親に見てもらい、「入らない量である」と確認してもらってから、兄の家で両親に休んでもらっている間に、姉が不要なものを処分するという段取りにした。

両親を見送ったKさんは、1泊して思い出のある実家を1日半かけてきれいに掃除した。その後、不動産会社と媒介契約を結んで売り出しを開始した。不動産会社がリフォームして販売するといって、5月中に550万円で買い取った。

【画像5】丁寧に掃除をして、売りやすくかつ、外から見て空き家と分からないような状態にした(画像提供:Kさん)

すべてが済んだKさんは、「あと5年早い後期高齢者になる前であれば、両親の判断力や体力もあったので、もっと処分が楽だった」と振り返る。両親もつらかったようで、よく「引越しの前後のことは覚えていない」と言うそうだ。兄は「処分はなんとか終わったが、捨てるものと残すものの判断に時間がかけられず、結果的に残した方がよかったと思うものもあった」と後悔もある。
それでも、無事に実家をたたむことができたのは、兄弟姉妹で役割分担や情報共有をして、「両親の承認を得ながらも、強い意志を持って対応できたから」だと語った。

幸い新居での生活を始めた両親は、実家にいたときより外出する機会が増え、以前より活動的になっていった。地元を離れたのは寂しいものの、煩わしさから解放された面もあったようだ。
これから実家をたたむことを考えている人にとって、Kさんの体験は参考になる点がたくさんあるはずだ。

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