相続を考える前に多くの銀行口座の集約や 保険の確認など散らばった財産を整理せよ!

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2015年からの相続税の増税を前にして、節税対策を考えている人も多いかもしれないが、その前にしっかりと整理をしておかないと大変な事態になってしまうことがある。そうした整理を怠ったことによる失敗事例を紹介しよう。

保険会社の社名が変わり加入歴がわからない!
銀行口座も凍結されてしまい遺族は悲惨に

 ガンの手術後、容態が急変した安達源治さん(仮名)。延命治療をするかどうか家族が悩んでいるうち心肺が停止して70年の人生を終えた。

 困ったのは遺族だ。安達さんはまだ70歳だったため延命治療や葬儀の希望も確認していなかったし、財産の片付けもしていなかった。 残された子どもたちが安達さんの遺品を探すと、転勤や転職のたびに新規に作った全国の銀行や信金の通帳が20冊も出てきた。

 仕事上の付き合いで生命保険にも複数加入していたのは確かだが、保険会社名も保障内容も家族は聞いていなかった。保険証券が出てきたと思ったら、過去に経営破たんし外資に吸収された保険会社のもので、現状の契約がどうなっているのかは不明だった。

 配当金の通知のハガキが保存されていたので株式も保有しているようだが、どの証券会社に口座を持っていたかが判明しない。パスワードをメモした紙があったので、おそらくネット証券で取引していたことは推測できた。

 ようやくメインの銀行口座が判明したが、葬儀代など当面必要なお金を引き出そうと思って銀行へ行き事情を話したのが失敗だった。銀行は死亡したと聞いた途端に口座を凍結し、遺産分割協議書と全員の同意書や印鑑証明がないと引き出せないと引き出しを拒否。

 預金を引き出すためにも相続の話し合いをする必要があるが、株や不動産など正確な財産内容も不明で、話し合いの開始もできない。

「元気なうちに口座を集約したり、保険内容を伝えるなど財産の片付けをしておいてくれれば」と遺族の愚痴は尽きない。

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