VTR出演という禁じ手、解禁か

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 2014年8月に発売したベストアルバムが、25万枚突破セールスとなった中森明菜(49)。本人がまったくメディアに登場しない中での異例のこの売り上げは、彼女の根強い人気を証明した。

 これに目を付けたのが、『紅白歌合戦』のNHKだ。現在発表されている出場者リストに中森明菜の名はないものの、いまだ熱烈なオファーをしていると12月22日発売の「FLASH」(光文社)が報じている。

 なんとしてでも明菜を出演させたいNHKは、明菜サイドに極めて異例の「VTR出演」まで提案。出場するかどうかは本人からの返答待ちだという。生で歌うのが当たり前の『紅白』において、奥の手でもあるVTR出演まで譲歩したNHKのなりふり構わなさが伝わってくる話だが、この措置が、ほかの出演者の不満を買う可能性は大いにある。

それでも中森明菜の出演を切望するNHK

 2014年の紅白は、サザンオールスターズが31年ぶりに登場。話題性はすでに十分とも言える。なぜNHKは奥の手のを使ってまで明菜を紅白に出したいのか。あるテレビ関係者は語る。

「現在NHKは朝ドラが好調で、存在感は民放と肩を並べるほど。そこでNHKの代名詞である『紅白歌合戦』に、民放では登場しない明菜を出す。そうなれば視聴者に“NHKは民放とは違う”と思わせることができます」

 確かに、民放には出ない明菜が紅白の舞台に出場したとなると紅白の特別感は増す。巷にあふれるNHK不要論や受信料の問題も、やや薄れるかもしれない。しかし、だからといって、奥の手を出してまで明菜を出すべきなのだろうか。

「現在、紅白の視聴率は40%前半で踏みとどまっていますが、今から10年ほど前は50%以上ありました。当時と比べると力が衰えてきていますが、朝ドラが好調だった2014年はNHKに対するイメージもいい。それを利用して50%近い視聴率を狙っている。明菜が出演してくれれば、それに近い数字が狙えますから」(前出の関係者)

 大晦日の王者NHKだからこそ、他の追随を許さない視聴率を獲得して、確実な勝利を手にしなくてはならないということだろう。ただし、この勝利は危険性もはらむ。

「紅白は生放送でアーティストが歌うのが肝。視聴率と話題性ほしさに、明菜サイドにVTR出演を提案したNHKに対し、テレビ業界関係者は冷ややかですね。もしもこれが実現したら、VTR出演が増えて紅白の地位は落ちてしまうかもしれません」(同前)

 明菜の出場は、今のところ本人の意思にゆだねられている。是非が分かれるところだが、彼女が出演することは、紅白の凋落につながりかねない――。

(取材・文/タナカアツシ)