ロリータがロリータ服をクリーニングしてくれてる!(あくまでイメージ画像です)

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以前、コネタで「日本ロリータ協会」という団体を取材したことがあります。その際、「ロリータ」文化の成り立ち、そして広がりのきっかけを伺ったんです。
「もともとは、パリの貴族が着ているファッションを日本の女の子たちが真似たことから始まりました」(吉原事務局長)

よく考えてください。貴族のファッションを着こなしてるんですよ? いや、決してそのものを着てるわけじゃないだろうけど、仕立ての良い大仰な服であることに変わりはなく。
これ、維持や保管も大変だろうな。完全に一張羅だもの。着て、脱いで、全自動洗濯機にドサッ! ってわけにはいかないでしょう。

そこで、このサービスをご紹介。「丸富株式会社」(大阪府大阪市)は9月5日より、「ロリータクリーニング」をスタートさせています。というのもロリータ服、クリーニング店に出すも断られるケースが多いそうなんです。その理由は、以下のとおり。
・およそ2〜8万円くらいと高価
・染色堅牢度が弱く、色が出やすい
・ドレスのように服自体に膨らみを持たせているため、型崩れが起きやすい
・飾りやリボンが多用されていて、洗濯に耐えられない
・仕上げに手間がかかる

これは、敬遠に値する面倒臭さだな。……とも言ってられない! 実は今、クリーニング業界自体が右肩下がりにあるらしい。
「一般的なクリーニングは92年の8,700億円をピークに、バブル崩壊とともに減少の一途をたどり、現在では3,500億円程度にまで業界規模が縮小してきました。このまま今まで通りのクリーニングを続けていても業界が良くなることはないと思い、単に洗ってプレスし仕上げるだけのクリーニングからの脱皮が必要だと確信しました」(「丸富株式会社」代表取締役・田村義昭氏)

そこで同社、今年6月に「原宿TORICO」なるショップを原宿にオープンさせています。服飾大学・専門学校との連携でモノづくりからアフターケアまでをトータルに扱える同店は、諸々の事情で10月に閉店したものの、収穫は少なくなかった。
「オリジナル服を作成したことで、服作りに対する考え方や知識を若干ではありますが得ることができました」(田村氏)
それだけではない。「原宿TORICO」にはコシノジュンコ氏も来店、「ここでクリーニングしなさいよ」とアドバイスされ、原宿を聖地とする「ロリータファッション」にターゲットを絞ることを決意。また「ロリータを普及するには、それに対応できるクリーニングが必要!」と、日本ロリータ協会会長の青木美沙子氏からの全面バックアップもゲット。これらの経緯を踏まえ、「ロリータクリーニング」は立ち上がったのです。

それにしてもクリーニングが困難なロリータ服、どうして御社だと対応できるのでしょう?
「既存の機械を改造・改良し、世界にまだ1台しかない洗浄機を完成させました。これ1台でしみ抜きから洗浄までをトータルでこなせるので、細かい洗浄をしながらのケアが容易です。型崩れもなく全てを水洗いしますので、汗汚れもきれいに落とせます」(田村氏)

このサービスがロリータ業界に知れ渡るや、すぐさま注文が入ったそう。
「届いた商品は汗汚れがひどく、生地もくたびれていたのですが、汗汚れを完全に除去、のり付けを施し、新調感を出してお返しすることができました」(田村氏)
この技術力を携え、「ロリータ服のクリーニング」というジャンルで同社は“独占”を狙う。
「ロリータ人口は減少傾向ですが、外国人もまた日本のロリータを崇拝している人が数多くいます。ニッチな市場ではありますが、日本だけでなく海外も含め考えれば、それは大きな市場に変わると思っています」(田村氏)

ロリータ服の持ち込みは「ロリータクリーニング」のサイトにて受付中。現在はオープン記念特別価格が実施されており、2点までの持ち込みだと5,000円(税別)、5点までなら10,000円(税別)という料金設定になっています。
「ロリータさん達からのニーズが強いようでしたら、時期を見て実店舗をオープンするかもしれません。また、当社では阪神間に実店舗のクリーニング店舗(まるとみクリーニング、ウエルクリーニング、イーネクリーニング)を持っているので、店頭での受け付けは随時可能です」(田村氏)

最後に、田村代表取締役から一言。
「ロリータ服を洗うのが目的というより、当社の技術レベルがここまでのものだと知っていただくのが一番大きな目的です。ロリータ服は“扱いにくい服の代表例”として知られていますが、『どんな服でも洗います!』ということを訴える手段だと考えています」
今後は、同社が開発した洗浄機の販売も検討しているそう。この流れは、自ずと「ロリータの普及」にもつながってきますな。
(寺西ジャジューカ)