意外に見たことがない場所です。

写真拡大

秋、紅葉のシーズンがやってきた。
紅葉といえば京都。紅葉のきれいな寺社仏閣では、この季節に合わせて非公開文化財の特別公開などが行われている。
魅力的な非公開文化財が多く登場するこの季節、一風変わった特別公開があるという。
それが行われているのは、京都の宇治。三室戸寺である。

宇治といえば今年、平等院鳳凰堂が新しくなって話題を集めたばかり。宇治巡りの人気も高まり、宇治を周遊する特別電車なども運行中。
三室戸寺は、そんな宇治の中央に位置する、1200年もの歴史を持つ寺である。
境内を彩るあじさいで知られ、梅雨時期には「あじさい寺」として多くの観光客が足を運ぶが、秋の紅葉シーズンも庭園が一面紅葉に覆われて非常に美しい。季節を通して宇治巡り人気のスポットのひとつである。
紅葉の始まる11月。この寺では、とある会が開かれる。
それが「観音様の足の裏を拝する会」である。

これはその言葉のとおり、宝物館に鎮座している観音菩薩像の足の裏を拝観できる、というもの。
そもそも宝物館では普段から勢至菩薩、阿弥陀如来、観世音菩薩の阿弥陀三尊(重要文化財)が鎮座。その中の勢至菩薩、観世音菩薩は珍しく、正座の形で作られている。普段は参拝者に対して向かい合うよう座っている観音様だが、特別期間中のみ180度回転させ、拝観者に背を向ける形で設置される。
そうすることで、普段は隠されている観音様の足の裏がちらりと見える。といった趣向である。

着物の裾から見える足は繊細な仏像の作りに反して、小さいながらもしっかりとした肉付き。平安時代に造られた仏像だというが、精巧かつ遊び心のあるチラリズム。非常に珍しいものだが、確かに180度方向転換しなければ、この足を見ることはできない。せっかくだから見てもらいたいという、お寺の方のサービス精神も素晴らしい。

仏像といえば、みんな注目するのは顔ばかり。さらに足は組まれていることが多いため、足、それも裏側を見る。なんてことはなかなか体験のできないことだ。

この会を始められたのは18年ほど前から。年々話題となり、今では毎年数千人の人が拝観に訪れるのだという。
ただしこの公開は、11月1日から11月30日までの土・日・祝日の期間のみ、宝物館への入館料、300円が必要となる。

ちょうど宇治の紅葉は11月初旬から色づきがスタート。中旬頃には見頃を迎えるでしょう、とお寺の方は語る。
宇治を巡る時、ちょっと足を伸ばしてこんなかわいい足の裏を拝観におとずれてみてはどうでしょうか。
(のなかなおみ)