「野菜だけで作った王様ラーメン」(900円税込)

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博多ラーメンと並んで高い人気を誇る熊本ラーメンといえば、豚骨ベースのまろやかなスープに、やや太めのもっちり麺、マイルドな味わいが特徴だ。

そんな熊本ラーメンの名店「こむらさき」が新横浜ラーメン博物館の店舗限定で、野菜だけで作ったラーメンを販売している。豚骨ラーメンがウリの同店。はたして野菜だけでそれらしいラーメンが作れるのだろうか? 早速食べに行ってきた。

細かい説明は抜きにして、とりあえず写真を見てほしい。

見た瞬間、驚いた。だって食べ慣れたメインメニュー「王様ラーメン」にウリ2つ! というのは少々言い過ぎにしても、ほとんどそっくりだったから。ちなみに通常の「王様ラーメン」はこちら。

通常の「王様ラーメン」と、今回発売された「野菜だけで作った王様ラーメン」の違いは3つある。

1つめはスープ。「王様ラーメン」は豚骨主体に鶏ガラをブレンドしたスープだが、「野菜だけで作った王様ラーメン」は、玉ねぎ、キャベツ、ジャガイモ、リンゴなどの野菜だしに豆乳を加えたスープ。豆乳を加えることで黄金色の野菜ブイヨンがいい具合に豚骨風の白に変化し、豆乳のクリーミーさが豚骨スープに似たコクや食感をうまく再現している。肉由来の風味はないものの野菜の旨味たっぷりで、豆乳由来の大豆の甘味もほんのり。クセになる味わいだ。

2つめはチャーシュー。「野菜だけで作った王様ラーメン」では、肉の代わりに大豆ミートを使用。肉のような繊維はないが、ハム程度の歯ごたえはあり、遠目にみると色や形はそっくり。

そして3つめは香りづけの油。通常はラードなどを使うところ、ニンニクを揚げた油(マー油)を使っている。ちなみに、じっくり炒りあげたニンニクチップを仕上げに振りかけるのは共通。香ばしく、カリカリした食感のニンニクチップが全体の味を引き締めている。

野菜だけを使ったラーメンと聞いて、食べる前はかなりあっさりした味わいを予想していたのだが、従来のラーメンに近いまろやかなコクがあり、物足りなさは一切なし。もともと同店のスープは豚骨といっても、豚臭さが少ないこともあり、テイストはかなり近い。個人的には「野菜だけで作った王様ラーメン」の方がやさしい味わいで好みかも。

それにしてもなぜ、あえて野菜だけを使ったラーメンを開発しようと思ったのか? 実はこれ、新横浜ラーメン博物館全体としての取り組みなのだそう。
「同館を訪れる約10%が外国人のお客さまですので、ムスリムやベジタリアンなど、宗教や思想によって従来のラーメンを食べられない人などにも、もっと広く食べてもらいたいとグローバルスタンダードラーメンの提供を始めました」と同館営業戦略課の八巻さん。現在では、館内の6店舗で肉類・魚類・アルコールを使わないグローバルスタンダードラーメンが発売されている。(※ただし厨房や食器はわけていないため、ハラール対応ではなくムスリムフレンドリー対応)。

こむらさきのマネジャー加藤さんに話を聞くと、発売から4カ月ほど経つが、反響もよく、「意外に日本の方もよく召し上がっていますよ」とのこと。開発にあたってはスープの調合や大豆ミートの硬さの調整などにこだわったそうだ。味の比較をしたい人には通常より小さめサイズの食べ比べ用のセット(1240円)もおすすめ!

ちなみに同館では、外国人観光客に向けた対応として他にも、無料Wi-Fiの導入、祈祷室の整備、メニューのピクトグラム(絵文字アイコン)化を実施。麺をうまくすすれない外国人のために、すすり方のビデオなども作成している。

いまや世界中で大人気の日本のラーメン。これからは日本でもグローバルスタンダードなラーメンを置く店も増えていくのかも!?
(古屋江美子)