「8月15日と言われても出てこない」と菊地亜美

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NHK総合が8月15日に「戦争と平和」をテーマとした番組『大人ドリル スペシャル』を放送した。街角で若者たちに行ったインタビューでは「8月15日は何の日?」か問われて答えられないばかりか、かつて日本と戦争した国がアメリカだと聞いて「え!」と驚く者もいた。スタジオでゲスト出演したアイドルの菊地亜美やモデルの河北麻友子らも太平洋戦争をはじめとする戦争に関するクイズに珍回答を連発。直接戦争を体験した人々が減っていく中で“戦争をどのように伝えていくか”という課題が浮き彫りとなった。

第二次世界大戦(太平洋戦争)が終結して、玉音放送(昭和天皇による終戦の詔書の朗読放送)により、日本の降伏が国民に公表された1945年8月15日を「終戦の日」や「終戦記念日」と呼ぶ。しかしながら、世間ではその意識が薄らいでいるようだ。8月15日を選んで放送された『大人ドリル スペシャル』で街頭インタビューを受けた若者が「終戦記念日」を知らないことについて、ゲストの菊地亜美(23歳)も「8月15日とパッと言われても、全然出てこないですね」と返している。インタビューした若者のうち約半数が「8月15日が何の日か?」を知らない結果となった。

さらには靖国神社の“みたままつり”に足を運んだ10代20代の若者たちに「この神社は何を祀っているのか?」と質問しても「分からない」と答える人が少なくない。太平洋戦争について「日本はどこの国と一緒に戦った?」と聞けば「アメリカ」と答え、「アメリカは敵国だった」と教えると驚いていた。さらに「味方だった国は?」と問い直すと「分からない」、「いないですね」という感じだ。スタジオでも河北麻友子(22歳)は味方だった国について「分からないです」、菊地亜美は「フランス!」と答えている。中尾明慶(26歳)が三国同盟を結んだ国について「ドイツとイタリア」だとようやく正解した。

“戦争”についての認識が薄れているのは、インタビューを受けた若者や菊地亜美たちばかりではないのだ。2010年のNHK世論調査によると『広島原爆の日の年月日は?』との質問の正答率は全国区で「20代・30代(25%)、40代(30%)、50代(33%)」となっており、若者に限らず“原爆の日”を知らない人が半数以上となった。広島市在住者では「20代・30代(52%)、40代(75%)、50代(74%)」と正答率が上がっている。解説員は「みんな、もっと広島、長崎に行って体感して欲しい」と願っていた。

一方で、この放送を見た視聴者からはネットで「ちょっとびっくり。8月15日がなんの日か知らないんだ」、「日本がどこと戦争して負けたとか、8月15日が何の日か知らない人いたとは、終わってんな」、「靖国神社や終戦記念日、原爆の日を知らない人があまりにも多くて悲しくなった」といった感想が多数つぶやかれている。その反応からは、番組でのインタビューがそのまま実態を表しているわけではないと期待が持てる。

全国の学校の状況がどうなのかは分からないが、番組で女性解説員から東日本大震災が起きた3月11日は学校でも黙祷をするように「8月6日や8月9日、8月15日も夏休みだが登校日にして『戦争を考える日』を作るべき」だと提言があった。太平洋戦争を経験した人々が少なくなる中で“戦争について”伝える方法を真剣に考える時代となったようだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)