Apple TV。片手で持てる手のひらサイズの小さい箱だ

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新しいApple TVが4月頃発表されるのでは、という噂が流れている。また、Huluが日本の事業を日本テレビに売却するなど、Apple TVとその周辺が、少し騒がしくなってきた。

しかし、「Apple TVって何だ?」という人は思ったよりたくさんいるはずだ。「Apple TV」と聞いて、リンゴマークの付いた液晶テレビを思い浮かべた、あなた。それ、違いますので、この記事を参考にしてください。


●持っていない人のための「Apple TV」のキホン
アップルは「Apple TV」という製品を販売している。「TV」と付いているが、いわゆる家電のテレビではない。大きさは縦横98mmの手のひらサイズで、重さは272g、価格は10,400円の黒いちっちゃい箱である。


Apple TVと付属のリモコン。メニューはリモコンで操作する



Apple TVの背面。テレビとはHDMIケーブルで接続する。古いテレビには、HDMI端子がないものもあるので注意したい


この箱に電源コードを挿し、リビングのテレビとHDMIケーブルで接続し、無線LANまたは有線LANでインターネットに接続する(無線LANの場合はルータのパスワードをテレビ画面で入力する)。たったこれだけで、以下のような画面が現れて、有料/無料のテレビ番組や映画、YouTubeが見られるようになる。メニューの選択は、付属のリモコンで行う。


Apple TVのメニュー。HuluやYouTube、Bloombergなどのコンテンツが用意されている



冒頭に書いたHuluは、Apple TVのメニューの1つだ。月額980円で、映画やドラマ 約10,000本が見放題になるサービスだ。支払いはApple IDのアカウントで登録してあるクレジットカードから引き落とされる。手続きは、すべてApple TVのメニュー内で完結する。

●オンデマンドテレビとして見ると「dビデオ」に分があるかも
ここまで書いたことは、HDMI端子のあるテレビとインターネット環境があれば実現できる。iPhoneやiPad、Macなどのアップル製品を持っていなくても問題ない。「最近のテレビは面白くない」とお嘆きの方は、「Apple TV」を追加するだけで、テレビライフが格段に充実するだろう。

ただし、最近はライバルも多い。特にNTTドコモが提供するスマートフォン向けの「dビデオ」は強力だ。これは、月額500円で国内外の映画、ドラマ、アニメ、音楽、BeeTVなど、約18000タイトルが見放題となるサービスだ。dstickというデバイス(6930円)を追加すれば、テレビで「dビデオ」を楽しむこともできる。さらに「dビデオ」は、NTTドコモの契約ユーザー限定のサービスだったが、2014年4月1日からはキャリアフリー化、つまりドコモ以外のスマートフォンからも利用可能になることが発表されたばかりである。

「dビデオ」の会員数は、2013年の3月時点で400万人突破したと発表されている。2014年2月時点の会員数は不明だが、キャリアフリー化で、その数がさらに増加するのは間違いない。

●iPhone/iPad/MacとテレビがつながるのがApple TVのもうひとつの魅力
ここまでだと、Apple TVは少々分が悪い感じが否めない。個人的にも、単に色々な映画やテレビ番組を見たいだけなら、dビデオ+dstickで十分なのではないか、という気もする。

しかし、Apple TVには、もうひとつ重要な機能がある。AirPlayによるiPhone/iPad/iPod touch/Macとの連携だ。

AirPlayは、Apple TVとiPhoneなどのアップルデバイスを無線でつなぐ機能だ。Apple TVが同じWi-Fiネットワーク内にあると、iPhone/iPad/iPod touch/MacにAirPlayのアイコンが現れ、AirPlayが利用可能になる。

たとえば、iPhoneで撮影した画像をテレビで表示したり、音楽やビデオをテレビでストリーミング再生したりできる。さらに、iPhone/iPad/Mac/iPod touchと同じ画面を表示する「ミラーリング」、異なる画面を表示してiPhone/iPad/iPod touchをコントローラのように使える「デュアルスクリーン」も利用できる。

というわけで、iPhoneやiPadなどを持っているユーザーにとっては、やはりApple TVはとても魅力的な製品なのである。


iPhoneの画面。ネットワーク内にApple TVがあると、AirPlayのアイコンが表示される



選択すると「Apple TV」が表示される



Apple TV側にもAirPlayの設定が用意されている



AirPlayとは別の「ホームシェアリング」という機能も用意されている。これを使うと、Mac/PCのiTunesで管理している音楽やビデオをApple TVで再生できる



●そして新しいApple TVの噂が……
そして、冒頭に書いた通り、新しいApple TVの噂がチラホラと聞こえるようになった。CNET Japanの記事によると、Apple TVの2013年度の売上が10億ドルを超えて、CEOのTim Cook氏は「Apple TVを趣味と呼ぶには少々難しくなった」という趣旨の発言をしたらしい。売上10億ドル(約1,000億円)で「趣味」という言葉が出てくるのは置いておいて、今後、Apple TVに変化が起きる気配は濃厚と言えそうだ。

これからしばらくは、Apple TVの動向から目が離せそうにない。Apple TVを知らなかった人も、本記事をきっかけに「Apple TVって面白そう!」と思っていただければ幸いだ。特にiPhoneやiPadを持っているなら、ぜひApple TVに注目してほしい。楽しいよ!

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井上健語(フリーランスライター)