ラピュタの「バルス」世界新 まさに「風立ちぬ!」 いや「熱冷めた」かも
スタジオジブリのアニメ映画「天空の城ラピュタ」が2013年8月2日、日本テレビ系列で放送された。事前の予想通り、ネットユーザーは作品に登場する滅びの呪文「バルス」を主人公が発するのと同時に、ツイッターや2ちゃんねるなどへ一斉に書き込んだ。
結果として、ツイッターでの瞬間ツイート数(1秒間に同じ単語がツイートされる数)世界記録を塗りかえるほどの「バルス」がつぶやかれた。
テレビ各局も「バルス」ツイート
ツイッター社は8月3日、日本版公式アカウントで、
「昨日の『バルス』の記録がでました。ツイート数のピークは主人公が『バルス』と発したのとほぼ同じタイミングで日本時間の午後11時21分50秒、ツイート数は143,199TPSで、これまでの最高である今年の『あけおめ』の33,388TPSを大幅に上回っています」
と発表した。前回放送時(11年12月)は1秒間に2万5088回の「バルス」がつぶやかれたが、今回はその5倍以上も上回る約14万回の「バルス」が投稿されたのだという。これにより、1月1日未明の「あけおめ」(約3万3000回)が持っていた瞬間ツイート数の最高記録が更新された。
企業のツイッターアカウントによる便乗「バルス」も続出した。画面表示がくずれる「バルスボタン」をトップページに設置した「Yahoo!Japan」広報をはじめ、Amazon.co.jp、プレイステーション、日産自動車、ケンタッキーフライドチキン、ローソンなどの公式アカウントが午後11時21分前後に「バルス」とつぶやいた。
またテレビ各局の広報・宣伝用アカウントも、
「今夜はバルスなんて言わないもんねっ」(テレビ朝日)
「\バルス!/」(テレビ東京)
「\( ・д・) バルス !! /のあとはNHK総合で!」(NHK)
「普通に同僚とバルス関係なく宣伝と言うものについて話し込んでいました」(TBSテレビ)
などと、放映を意識したツイートを投稿した。
「祭り」が商業的になってしまった…
ツイッター公式アカウントは、2日の放送前に「今回の『バルス』がどうなるのか楽しみです。(サーバーが持ちこたえますように!)」とつぶやいた。またニコニコ動画も「バルス祭り ニコニコ会場」と銘打ち、積極的な書き込みを促した。
このように、いままでゲリラ的に行われていた「祭り」が公認され、インターネット業界を挙げた「一大イベント」として行われたことに対し、興ざめしてしまった人が多いようだ。
「祭り」を振り返って、2ちゃんねるでは、
「世間に認知されると途端に冷める」
「企業がしゃしゃり出てきて、さぁバルスしましょう!とか言い出したら、急に熱って冷めるもんだと思うんだけどなぁ」
「前回のバルスは示し合わせたわけではないのに結局みんな同じバカやっちゃったって面白さがあったけど、今回のバルスはいい大人が悪ノリして金動かしてるだけだから大した面白さはない。この先エスカレートするだけ」
などと、「バルス祭り」が商業的になってしまったとの声が多く見られた。その一方で、「引き篭もりの僕でも社会の一員なんだって一体感がいい」といった感想も根強い。
また、そもそも「祭り」に批判的な人も多く、
「なんかあの無駄な祭りノリ大嫌いだわ…一体何が面白いんだか」
「普段メディアを叩いてるのに完全にメディアに操られているバルス民達」
「まあ日本には1億数千万も人口がいるわけで、圧倒的多数派はこの件と関わってないってのが唯一の救いだな」
などの声に対して、
「まぁ批判するヤツもいるけどこれが日本人の国民性だからしょーがない」
「祭り参加で楽しむ人もいれば、それを叩いて楽しむ人もいる。人それぞれの楽しみ方なんだなあ。バルス」
と達観した視点からの擁護も見られた。賛否両論あれど、これほど話題になったのなら、「バルス」には新作ジブリ映画「風立ちぬ」ならぬ「大風」が吹いたと言えるだろう。