ドイツも通信傍受を強化:諜報機関予算を大幅増額

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復元されたベルリンのチェックポイント・チャーリー跡(2003年6月撮影)。復元された検問所の屋根には、片面にソ連軍兵士の写真、反対側には米兵の写真が掲げられている。画像はWikipedia

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ドイツの諜報機関に対する予算が大幅に増額されることになった。インターネット・トラフィックの監視能力向上のためだ。



連邦情報局(BND)は、ドイツ国民に対する海外からの脅威を事前に察知する目的で、電話の盗聴やウェブでの通信の傍受を行っている。『Der Spiegel』によると、増額分の予算1億ユーロ(約128億円)は「職員と技術」に充てられる予定だという。



1億ユーロはBNDの現在の年間予算のおよそ1/5にあたり、今後5年間の予算に上積みされていく。サーヴァーの増設や職員100人の新規雇用が予定されており、雇用される職員の一部は新しい「技術調査」チームに配属される。



BNDは現行の法律で、ドイツ国内および国外からの全ウェブトラフィックの最大20%まで傍受することが許されている。しかし、これまでは最大で5%のトラフィックしか処理できなかったようだ。



法律によれば、傍受された情報は保存することはできず、即座に対応するか破棄しなければならない。情報はフィルタリングにかけて分析される。2011年の場合、傍受されたメッセージ290万件のうち、「情報価値があるデータ」が含まれていたメッセージは290件だけだったという。



今回のニュースは、米国家安全保障局(NSA)の「PRISM(日本語版記事)」プログラム問題が暴露され、2日後にはバラク・オバマ米大統領がベルリンを訪問してアンゲラ・メルケル独首相と会談するというタイミングで届けられた。ヨーロッパの人々が米国によってスパイされていたという報道によって、ドイツ国民のオバマ大統領への肯定的な感情は急落している。



複数の抗議デモが計画されており、冷戦期の象徴であるベルリンの「チェックポイント・チャーリー」(東西ドイツの境界線に置かれていた国境検問所)では大規模な抗議デモが行われる見通しだ。一方、欧州議会の議員たちは、欧州連合の市民に対する米国のスパイ行為を防ぐために、どういった法的措置がとれるか検討している。




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