富士キメラ総研がデジタルサイネージ市場の注目トレンド発表

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富士キメラ総研は5月14日、2012年12月から2013年3月にかけて「デジタルサイネージ」の国内市場を調査し、その結果を「デジタルサイネージ市場総調査 2013」報告書にまとめ発表した。

本調査では、デジタルサイネージ市場をデジタルサイネージのシステム販売/構築からコンテンツ制作/配信サービス、そして広告ビジネス(サイネージ広告)までを調査した。今回は、需要先を35市場(昨年30市場)とさらに拡大したほか、これまで同様に、ディスプレイや配信システム市場や分野/需要先別の参入企業動向を踏まえ、デジタルサイネージ市場の方向性を展望した。

それによれば、国内デジタルサイネージ市場は2011年、大震災の影響でシステム構築計画の延期や中止、広告の放映中止、広告主のデジタルメディア出稿控えなどで市場が伸び悩んだが、2012年はシステムの需要が回復し、広告出稿の再開もあり、214億円、前年比116.9%と2桁を超える伸びとなった。

とくに交通広告は市場の約半数を占めており、震災の影響も少なかった鉄道車両が市場を牽引しているという。JRグループ6社の駅エリアデジタルサイネージシステムの連携も行われるなど、媒体認知度が急速に高まり、空港では、成田国際空港の336面システムのリニューアルがトピックスの1つだという。また、バス・タクシー車両、SAやPA、一般道路の道の駅などでも徐々にメディア数が増加。交通機関では交通広告ビジネスが成立して新たな広告メディアの1ジャンルとして展開され、既存広告主からの出稿も多く、新規開拓も進みつつあるという。

インストアメディア他では、スーパーや家電量販店、ドラッグストア、ブックストアのほか、自動車教習所や大学、予備校、医療機関、自治体施設の受付/ロビー/待合スペースなど、システム数/事業者数は年々増加しているという。

この他に、注目される市場トレンドとして、デジタルサイネージ向け主要ディスプレイ(5製品)があり、2020年の市場予測は、2012年比163.9%、28万2,500台となっている。従来は、業務用モニターが主流であったが、近年は低価格のデジタルTVの活用が進み、2020年市場予測は6万5,000台、2012年比191.2% デジタルTV比率23.0%。価格面のみならず、災害時にTVのニュース番組を放映するなど必要に応じて切り替えられるメリットも評価。ディスプレイメーカー各社はサイネージ用途に特化したデジタルTVを開発し、新規需要を開拓している。

また、デジタルサイネージ向けのスマートデバイスとしてはタブレット端末の需要が先行。2020年市場予測は、1万3,000台、2012年比 2.6倍と予測されている。

2012年の市場は5,000台で、用途は販売支援ツールが中心であるが、フロア案内など実験的な導入も見られ様々な事例が登場している。スマートデバイスを活用するメリットは、AndroidやiOS、Windowsなどの各種OSを搭載しているためメディアプレーヤーが要らず、また3G/LTEやWi-Fiなどの無線技術が利用できるためシステム構築が容易であること、位置情報を活用したロケーションベースサービスやO2Oビジネスに発展できること。現在は比較的大型のタブレット端末の需要が先行しており、Appleの「iPad」やAndroid端末に加え、Windows8搭載のタブレット端末が市場投入され端末が出揃ったことで機能訴求が多様化して市場の本格化を迎え導入が増加すると見込まれる。