「浅尾拓也の小さな綻び」というブログを書いてわずか4日、浅尾拓也が登録を抹消された。

中日新聞

「疲れが出ている。疲れを取ることが一番」と権藤投手コーチ。1軍復帰の期限は設けず、権藤コーチは「本人が納得できる状態になって吹っ切れてから戻ってくればいい」と話した。



とぼけた味は人柄だが、町医者が年寄りを診断しているような長閑な談話。無責任でもある。「疲れが出ている」って、浅尾を疲れさせたのは、あなたでしょうが。

昨年、MVPを取るほど活躍し、言い方を変えれば酷使された浅尾である。今年は肩や下半身に疲労がたまっていただろうし、燃え尽き感もあったかもしれない。

そのヒーローを序盤戦から昨年を上回るペースで使ったのである。投手というものは、試合に出たがるものだし、浅尾は意気に感じる投手だ。「行けるか?」と聞かれれば、「ダメです」とは答えないだろう。

投手コーチなり、監督なりがセーブして使わなければ、早晩、こうなるのはわかっていたはずだ。

中日は、ここ数年、優秀な複数の救援投手を擁してペナントレースを有利に進めてきた。しかし、そうした救援投手は長く活躍することが出来ず、次々と交替した。

過去5年間の中日救援投手。※は試合数に占める救援登板の%

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年々浅尾への依存が高まっていることが解る。しかし、昨年までの落合采配は、浅尾の起用に一定の配慮をしていたように思う。昨年までの勤続疲労に加えて、引き続いての今年の酷使が浅尾の不調(というほど悪くないが)の原因と断じてよいのではないか。
例年試合数の40%しか投げていなかった岩瀬仁紀への負担も急増している。若い浅尾が先につぶれたが、ここで岩瀬がつぶれたら、中日はお先真っ暗になる。

恐らくはここ数日、浅尾と首脳陣は何度か話し合いを持ったに違いない。汚名返上を訴える浅尾をコーチが説得したのではないか。

それにしても「無期限登録抹消」という言葉の何と冷たく、厳しいことか。昨年のみならず、ここ数年にわたっての中日最大の功労者が、まるで刑務所にでも入るようである。人の不幸で飯を食うマスコミの浅薄さを感じる。

「リフレッシュして戻ってこい」と首脳陣は浅尾に言ったそうである。彼らは不振は浅尾のせいだと思っているのだ。そうではないと思う。

浅尾に十分な調整をしていほしいのは言うまでもないが、それ以前に中日の首脳陣は「使える投手はどんどん使う」という起用法を見直してほしい。

酷使のためにわずか5年選手生命を絶たれた権藤博投手コーチは、一番よく分かっているはずなのだから。