いつまでも秋らしい涼しさがやってこず、クリーニングをいつ出したものか思案に暮れている日々が続くが、今日あたりから秋も本格化するようだ。そんな中で、この秋の装いを考えてみたい。

 個人的にここのところ、興味も向くままファッション関連のネタを追っているが、その中で確実に「潮目の変化」を感じるようになった。それはモードの先端でのハナシではない。いわゆるE.M.ロジャースの普及論でいうところの、最先端である「イノベーター」層の動きではなく、新たなイノベーションを評価し取り入れる「アーリーアダプター」層。そして、その動きに倣って行動を起こす「アーリーマジョリティー」層へと変化が伝播しようとしているように思うのだ。

 ユニクロが世に送り出す今期のヒートテックは総計1億枚を目標としている。高機能な衣料を低価格で提供する。それはいいことだ。だが、それは「ファッション」ではない。「部品の提供」だ。
H&Mのレディース向けのブラウスの典型的なシルエットは、襟元のV字のカットで、袖は七分。先端はボタンではなく伸縮性を持たせている。シルエットはタイトではなく、ゆったり目だ。誰もがそれなりにカッコよく着られるデザイン。実は1つのパターンを素材を変えていくつか展開していることに気がついている人は少ない。
 それでもユニクロもファストファッションも人気が続いている。安価に購入し、自分なりのコーディネートをする技術が消費者に備わってきたともいえるが、一方、そこまでファッションにこだわらない層を生み出しているともいえるだろう。

 
 昨今、気になる動きとは、「画一性からの脱却」だ。いわゆる「一点もの」が脚光を浴び始めているように思える。

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