いま、若者の社会貢献熱が凄い。大学生を中心とした10代、20代の若者たちの社会貢献にかける情熱が、ハンパではなくなってきているのだ。

 この連載の第1回でもお伝えしたとおり、昔の大学生は借金してでもクルマを買って女の子とデートしていた。女子大生はバイトに励み、スキーやテニスの最新ギアやウェアを毎年買っていた。遊ぶ金を作るためにディスコ・パーティーを開き、自分たちのためにチケットを売っていた。

 しかし、いまの若者は、途上国の現状を自分の目で確かめるために借金してでも世界を廻る。途上国に学校や診療所を作るためにクラブ・イベントを開き、見ず知らずの他人の幸せのためにチケットを売る。

 いったい何が起こっているのか――。今回はその実態をレポートしつつ、その熱狂の本質に迫ってみたい。

「GRAPHIS」という学生団体がある。都内の大学を中心に、約30大学の学生が参加する。その案内パンフを見ると、冒頭のページで主要メンバーが紹介されている。ほとんどが茶髪、金髪。キャバ嬢風メイクの女子大生と、ホスト風の男子学生の写真がズラリと掲載されているのである。まさにギャルとギャル男のサークルにしか見えないのだが、実はれっきとした国際協力団体、しかも医療支援を行なうNGOなのである。

 彼らは、全国の学生チャリティ団体と連動して「ラブチャリ」というクラブイベントを開催したり、オリジナルのCDを発売したりして、そこで得た収益でカンボジアに小学校を作り、診療所を建設するプロジェクトを立ち上げ、診療所まで救急車が通れるように荒れた道路を整備する活動まで行なっている。

「GRAPHIS」が医療支援を行なうのは、初代代表の石松宏章君(東京医科大学)が現役の医大生だったからだが、活動当初はイベントのパンフレットを作りすぎたりもして140万円もの借金を背負うこともあったとか。それでも諦めずに活動を続け、学生はもちろん、ギャル社長として有名な藤田志穂氏やカリスマモデルの梅つば夫妻など、さまざまな支援者が増え、大きな成果をあげていった。

 その活動の模様はこの秋、ドキュメンタリー映画として公開される予定。また、石松君自身の手記が講談社から出版される予定もあるという。

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