「大人向けのファンタジーがないのは不公平でしょ?」とニール・ゲイマン

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邪悪な魔女、空飛ぶ界賊、亡霊の王子たち、アメリカで宮崎アニメの実写版と評されたファンタージー映画、「スターダスト」が10月27日より国ロードショーとなる。
原作者、ニール・ゲイマンは、コミック出身の人気作家。今やファンタージー文学界の最高峰に君臨する共に、映画監督としても才能を発揮するクリエーターである。そのニール・ゲイマンが公開に先駆けて来日。お話を伺った。

■日本にいらっしゃったのは何回目ですか

2度目です。でも前回は、26時間滞在しただけなんです。そのときは、車でざっと回ったり、コスプレしてる人たちを見ました。

■「スターダスト」を書こうと思われたきっかけと、物語のテーマはなんでしょうか

きっかけは、多くの人に楽しみを与えたかったんです。で、よく考えてみると大人向けのファンタジーがなかったんですよね。あってもよさそうなのに御伽噺というと、何故か子供向けのものしかない。それは不公平でしょ?大人もファンタジーを読みたいに違いない。じゃ自分で書くしかないという思いから、「アウターダスト」を創ったんです。

テーマは、男の子の成長物語。自分が探し求めているものと、自分が欲しいと思っているものが、本当に必要なものではない場合もあるということを言いたかったんです。映画の中では、人々の期待に応えるために自分を変えようとしないで、本来の自分を出すべきだということですね。

■物語の時代背景はどのように決められたのでしょうか

始めは約300年くらい前の話にしようと思ったんです。でもちょっと考え直して、150年くらい前の話にしたんです。その頃は丁度、科学というのものが世の中にいろいろと入ってきた時代なので、その方が良いと思ったんです。例えば、蒸気機関車やカメラ、チャールズ・ディケンズの物語が出てきて、論理的な世界と非論理的なことを分け隔て始めた頃だったんです。その時代の方が、現実の社会と魔法の世界を分けることが出来るんじゃないかと思ったからです。

■魔女、幽霊、海賊は舞台であるイギリスを意識されたのでしょうか

今回の「スターダスト」は、イギリス的なストーリーにしたいということから、そういう要素を入れていきました。でもよくよく考えてみると、魔女にしても、幽霊や、海賊にしても、別にイギリスのものだけではなく、日本にも当然いるし、中国や他の国にもそれぞれに違う形でいると思うんです。ですから、特にイギリス的ではないのかもしれませんが、自分的にはイギリス的ととらえたかったんです。

■主人公のトリスタンとキャプテン・シェークスピアの関係が面白いですね

原作では、トリスタンは6ヶ月から8ヵ月くらい旅をするんです。始めは短い髪でスタートして、旅をする間に長くなるという設定。けれども映画の場合は、もっと凝縮しなければならない。そんなに長い旅には出来ないということがありました。でも、トレスタンが故郷のウォールに戻るときには、長い髪にしたかったんです。じゃどうすればいいのか?そうだ、ここは魔法の国だ。シェイクピア船長に髪をいじられ、「髪型を変えよう」と言われたときに長くすればいいんだということで、私の思いが達成できました。

キャプテン・シェークスピアとトリスタンは、原作では3日間しか船の中で一緒にいない。ですから、もっとエキサイティングにしたいし、もっと人間的な要素も加えたい。そしてトレスタンに教訓を教えると共に、トリスタンからも教訓を得るという役にしたかったんです。キャプテン・シェークスピアもトリスタンの何か共通点があるような、そういう形にしたかったんです。

■最後に、宮崎アニメのファンだという事ですが何かヒントをもらったのでしょか