勝田州彦容疑者

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十指に余る余罪

 二つの未解決事件が、一気に急展開をみせた。別件で服役中の男が18年前の殺人未遂事件を自供して逮捕され、さらには17年前の殺人も認めたのである。勝田州彦(くにひこ)容疑者、45歳。異常性はすでに少年時代から見られていたが、背景には元警察官の父が支配していた家庭環境も――。

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【写真をみる】昔の女子中高生が書くような“丸文字”がびっしり…獄中から届いた「実際の手紙」

 岡山県津山市で2004年9月、小学3年生の女児を刺殺した勝田容疑者は、昨年9月に無期懲役が確定して服役中で、新たな殺人未遂容疑で逮捕されたのは、今月7日のことだった。

「06年9月、兵庫県たつの市で小学4年生の女児が胸や腹部を刺され、全治2カ月の重傷を負いました。津山市の事件と手口が似ていたこともあり、勝田の関与が浮上。兵庫県警は5月下旬から任意で事情を聞いてきました。当初、勝田は否認していたのですが、途中から犯行を認め、『学習塾の近くで帰る女の子を狙っていた』と供述している。また当時、付近で別の女児が男から抱きつかれる事案があり、これについても認めています」(県警担当記者)

 さらに07年10月に同県加古川市で起きた鵜瀬柚希ちゃん(当時小2)刺殺事件についても、勝田容疑者は犯行を認めたという。迷宮入りが危ぶまれた事件に一転、大きな突破口が開かれた格好だが、そもそも勝田容疑者が「津山事件」で逮捕されたのも、別件で服役中のことだった。15年5月に姫路市で女子中学生の胸や腹をクラフトナイフで刺し、翌年には懲役10年の実刑が確定していたのだ。他にも十指に余る余罪がある勝田容疑者。 “モンスター”はいかにして育まれたのか――。

勝田州彦容疑者

自らの体を傷つけて……

 勝田容疑者の父親は兵庫県警の元警察官で、母親もまた元県警職員。10歳ほど離れた姉は早くに独立したといい、親元に住み続けた勝田容疑者は成人後、犯罪を重ねに重ねていった。09年にも姫路市で小学1年の女児の腹を殴り、懲役4年の実刑判決を受けている。
 
「15年に姫路で起こした事件の公判では、勝田の異常な行動が明らかになりました。中学校でいじめられた経験や両親の厳しいしつけが原因で、ナイフで自分の腹を刺したり彫刻刀で腕を切ったりと自傷行為を繰り返すようになったとのことで、出血する様子を見て興奮、快楽にふけっていたというのです」(全国紙社会部デスク)

父は「言うことを聞かないから半殺しにしたった」

 公判では、高校卒業時に警察官の採用試験を受けて失敗したことや、実家を出てマンション暮らしをした時期があり、250万円のローンでワゴン車を購入していた事実など、勝田の身上が次々と明かされていったという。

 先述の通り、家庭でのしつけが自傷行為、ひいては異常行動へとつながっていったわけだが、 元兵庫県警刑事の飛松五男氏は彼の父親についてこう明かす。

「勝田の父親は県警の先輩ですが、在職中に面識はありません。母親は私の在籍していた捜査1課の庶務係だったこともあります」

 さらに、

「私は津山事件で勝田が逮捕された直後に実家を訪問し、両親と対面したことがあります。まず父親に、家庭で虐待をしていたのかと問うたところ、『(州彦が)言うことを聞かないから半殺しにしたった』と認めていました。一方、中学校で勝田は、暴力を振るわれたり机に落書きをされたりといったいじめを受けていたのですが、父親は放置していたというのです」

息子の異常行為について気付いていた様子の母

 また母親についても、

「体を傷つけて快楽にふける息子には気付いていた様子でした。というのも、息子の部屋で血を見ており、“栗の花の匂いがする”と私に明かしたのです。また加古川の事件が起きた後、警察が自宅を訪ねてきたことがあったといい、両親がそれとなく本人に聞いてみたものの、はっきり返事をしなかったという。それでも『やっていないと信じるしかなかった』と話していました」

 そんな父も6年前、そして母はあとを追うように4年前、他界したという。

 11月14日発売の「週刊新潮」では、異常行動に関する複数の専門家の分析、そして獄中からフリーライターに送っていた手紙の中身など、“モンスター”の正体を4ページにわたって詳しく報じる。

「週刊新潮」2024年11月21日号 掲載