ルヴァンカップ決勝で120分間戦った“鉄人”稲垣。鹿島戦でもフル出場し、攻守で躍動した。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第36節]鹿島 0−0 名古屋/11月9日/県立カシマサッカースタジアム

 名古屋は敵地で鹿島と対戦。58分に鹿島の鈴木優磨が一発レッドで退場し、数的優位となったものの、ゴールを奪えず、0−0で引き分けた。

 今季の名古屋は、ルヴァンカップ直後の試合に苦しんできた。横浜との準決勝後はリーグ戦で札幌に0−2、広島との準々決勝後はFC東京に1−4でいずれも敗戦。さらに、柏とのプレーオフラウンド直後に行なわれた天皇杯では、地域リーグのJAPANサッカーカレッジに0−1とジャイアントキリングを許していた。

 11月2日のルヴァンカップ決勝では新潟に2度のリードを追いつかれ、3−3で突入したPK戦(PK5ー4)の末にタイトルをもぎ取った名古屋は、激闘を終えて初のリーグ戦となった。

 名古屋の長谷川健太監督は、選手の疲労や、メンタルのコントロールを考慮し、鹿島戦では「ある程度ハイテンポなゲームは捨てて、スローテンポというか、相手のスペースを消したなかで戦おう」と、チームの重心を低めに設定した敵地で最低でも勝点1を持ち帰る戦いを選択。
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 フル出場した稲垣祥も、「(ルヴァンカップの)大激闘を終えてからの試合なので、簡単ではない」とし、ひとり少ない相手を攻めきれず、「今日の内容は決してすべて褒められたものではないかもしれない」と認める。

 それでも、「チームの戦い方として、苦しい時にこういう戦い方もあるよというひとつの引き出しが増えた手応えはある。粘り強く戦いながら、今やれることはやりきった。それが今後につながる」とチームの成熟を噛みしめた。

 勝点3は得られなかったが、ビッグゲーム後に敗れる“悪癖”に終止符を打ったという意味で、「チームとして進歩してる証」と、稲垣にとっても得られたものは少なくないゲームだったようだ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)