リドリー・スコット、引退するらしいタランティーノに「黙って映画を撮れ」
「長編映画10作目で映画監督業を引退する」──かねてこう宣言しているクエンティン・タランティーノに、“先輩”のリドリー・スコットから愛情と信頼の一撃だ。巨匠いわく、「黙って映画を撮れ」。
最新作『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』を控え、米のロングインタビューに登場したスコットは、近年ますます精力的になる活動について「映画を撮ることを仕事だと思っていたらやっていない。(映画製作は)自分の情熱であり、喜びであり、だから続けられているんだ」と語った。休暇を取れない性格であり、週末の休みも家にこもって絵を描いているという。
インタビュアーから「死ぬまで映画を撮るつもりですか?」と問われると、スコットは「死ぬまでやるよ。クリント・(イーストウッド)は94歳だから」と答えた。イーストウッドの最新作『Juror No.2(原題)』は事実上の引退作といわれているが、「そりゃあ94歳だからね。僕は86歳だから、まだ数年はある」。コンスタントに映画を撮りつづけている今、以前よりも「無駄を削ぎ落とすのがうまくなった」そうだ。
まったく年齢を感じさせないモチベーションとバイタリティゆえ、タランティーノの引退宣言については、「そんなたわごとは一切信じない。黙って次の映画を撮れ」と一言。弟の故トニー・スコットと『トゥルー・ロマンス』(1993)でタッグを組んだタランティーノに、一定の信頼と期待を寄せているようだ。「ふたりは仲が良かった。僕は(タランティーノに)会ったことはないと思うけれど」。
旧20世紀フォックス時代から、20世紀スタジオとともに手がけた映画は13作。毎晩のように幹部と食事をともにしてきたといい、「成功もあれば失敗もあったけれど、全体的に見れば、彼らは僕の仕事で得をしていますよ」と語る。ただし、「いまはディズニー傘下だから、どこまで突き抜けられるかという微妙な問題はある」とも口にした。
意外にもアカデミー賞の監督賞を受賞した経験はないが、スコットは「受賞できないことには必ず理由がある」といい、「仕事をさせてもらえることが報酬」「アカデミー賞を獲ろうと思って映画を作っているわけではない」と話した。『グラディエーター』(2000)で作品賞に輝いて以来、授賞式に参加したこともないそうだ。
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は、そんなスコットが初めて監督賞に輝くのではないかとの噂さえある一本。しかし、本人は次回作となるビー・ジーズの伝記映画に向かって邁進しており、「(ハリウッドに)競争相手はいません。すべてが投資と期待の世界だから、どうなるかは誰にもわからない」と言い切った。
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