自民党本部と首相官邸が10月に相次いで襲撃された事件で、職業不詳臼田敦伸容疑者(49)が襲撃に使った車にガソリンが200リットル近く搭載されていたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁は自民党本部前で火炎瓶を投げ込んだとして、8日に火炎瓶処罰法違反容疑などで臼田容疑者を再逮捕する。同容疑者は逮捕後一貫して黙秘しており、同庁は押収したパソコンを分析するなどし、火炎瓶の入手・製造方法や動機の解明を進める。

 捜査関係者などによると、臼田容疑者は10月19日朝、東京・永田町の自民党本部前に軽自動車で乗り付け、警戒中の機動隊員らに向けて火炎瓶を約5本投げたとされる。投げ込む前には高圧洗浄機で液体を噴射したり、催涙スプレーをまいたりしていた。機動隊員のうち、3人がのどを痛めた。

 臼田容疑者はその後、約650メートル離れた首相官邸前で、車両進入阻止用の柵に車で突入。警察官に向けて発煙筒を投げたほか、車にも火炎瓶を投げたという。車内に積んでいたガソリン入りのポリタンクに引火させようとしたとみられるが、警察官に拳銃を向けられて投降し、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。

 車にはガソリン入りポリタンクが16個積まれ、総量は200リットル近くに上った。布が入った瓶の外側に棒状の着火剤二つが取り付けられた火炎瓶も残されており、自民党本部前などで投げられたものと同様の作りとみられる。同容疑者はいずれの襲撃時もガスマスクと防護服を着用していた。