今54歳ですが、友人が老後資金として「2000万円」貯めたそうです…!50代で同じくらい貯金している人は日本にどのくらいいるのでしょうか?

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「老後2000万円問題」という言葉が、ときおり報道などで扱われることがあります。この言葉に代表されるように、老後資金について心配する声は少なくありません。 実質賃金の減少や物価高騰など経済的な不安を感じさせるようなニュースを聞くと、早いうちに老後資金を貯めようと思うでしょう。また今回のケースのように、同年代の人がどれくらいの貯蓄をしているか気になるところです。 そこで本記事では、50代の貯蓄の実態について解説します。

50歳代世帯の金融資産保有割合

金融広報中央委員会は「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」の中で、預貯金を含む金融資産の保有状況を公表しました。
単身世帯と2人以上世帯それぞれにおける、50歳代の金融資産保有状況をご紹介します。なお金融資産には、預貯金のみならず金銭信託や債券、株式、投資信託、保険商品なども含まれています。
 

単身世帯の13.7%が2000万円以上の金融資産を保有している

同調査によると、50歳代の単身世帯366世帯のうち、2000万円以上の金融資産を持つ人の割合は13.7%でした。
表1

金融資産保有額
(50代単身世帯) 全体に対する割合(%) 2000万~3000万円未満 4.4 3000万円以上 9.3

出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成
金融資産保有額の平均値は1391万円ですが、中央値は80万円です。また金融資産を持っていない世帯は38.3%、持っているものの1000万円未満の世帯が36.6%でした。
この数値を見る限りでは、50代で2000万円を貯蓄している単身世帯は決して多くないようです。
 

2人以上世帯の16.6%が2000万円以上の金融資産を保有している

同調査によると、50歳代の2人以上世帯1024世帯のうち、2000万円以上の金融資産を持つ世帯の割合は16.6%でした。
表2

金融資産保有額
(50代2人以上世帯) 全体に対する割合(%) 2000万~3000万円未満 5.4 3000万円以上 11.2

出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成
金融資産保有額の平均値は1147万円ですが、中央値は300万円です。また金融資産を持っていない世帯の割合が27.4%、持っているものの1000万円未満の世帯が38.1%でした。
2000万円以上の金融資産を保有している世帯が2割にも満たない状況を踏まえると、今回のケースのように、2000万円の貯金をしているケースはメジャーとはいえないでしょう。

老後資金を確保するためにできること

老後2000万円問題はもともと、金融庁金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書に端を発して有名になった言葉です。同報告書では、特定の条件で試算した場合に、老後生活でおおよそ1300万~2000万円の不足が起きるとしています。
ただし定年後の勤務状況や収入・支出は世帯ごとにばらばらであり、資産状況も異なります。そのため、すべての世帯で一律に2000万円が必要というわけではありません。
とはいえ、金融資産に限りがある場合や、支出に不安がある場合は、定年前に少しでも老後資金を確保したいと思うかもしれません。その場合、以下のような努力や工夫ができます。
 

・支出を減らす

家賃が安い場所に引っ越したり、維持費の安い車に買い替えたりなど、生活費を削減する工夫をしましょう。
 

・定年後も働く

体力などの状況が許せば、勤務している企業の再雇用制度や再就職支援制度などを利用して、収入を確保できます。
 

投資資産運用する

NISAiDeCoなどを活用しつつ、利回りのよい金融商品に投資して資産を増やせるかもしれません。ただし投資には一定のリスクがあるため、安定性の高い商品を選ぶことが大切です。
 

・健康維持に気を配る

直接的な方法ではありませんが、心身の状態をできるだけよい状態に保つことで、働ける期間を長くしたり、医療・介護にかかる支出を減らしたりすることにつながるかもしれません。

50歳代で2000万円以上の金融資産を持っている割合は2割以下

50歳代で預貯金を含む2000万円以上の金融資産を持っている人の割合は、単身世帯・2人以上世帯いずれにおいても2割を下回っています。保有している金融資産の中央値は単身世帯で80万円、2人以上の世帯で300万円と、2000万円にはほど遠い数値です。
老後資金として実際に必要になる額は、世帯によって異なります。定年前に金融資産をできるだけ多く確保したい場合は、支出の見直しや資産運用など、今からできる工夫がないかライフプランを見直すとよいでしょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー