【The LDH Times】THE RAMPAGE・岩谷翔吾 マイクを持たないパフォーマーが紡ぐ小説デビュー作
THE RAMPAGEのパフォーマー・岩谷翔吾(27)が、新たな才能を開花させた。10日に自身初となる小説デビュー作「選択」(幻冬舎)を発売。高校時代からの親友という俳優・横浜流星(28)が原案を担当し、二人三脚で4年をかけて完成させた意欲作だ。THE RAMPAGEは、14年の結成から今年で10周年。東京ドームアーティストとして躍動する傍ら、本の中で小説家として言葉を生き生きと躍らせる。新たなキャリアを始めた岩谷に迫る。
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−小説家デビューを果たした心境は。
「書店巡りをさせていただいて、やっと実感が湧きました。この作品に関しては4年間かけて書いたけど、ずっと孤独な作業をパソコンの前で一人明け暮れていたので、やっとその孤独に光が差して実感が湧いてきたという感じ。小説を書くのは、本当に一筋縄ではいかなかった。誰かが助けてくれるわけでもなく、自分自身の内から出る物とひたすら戦い続けて、どんどん自分を削っていく感覚もあってつらかったけど、今作に関しては原案で高校の同級生の横浜流星と二人三脚で作り上げたので、そういう意味で孤独は薄れました。彼とだから、書き上げられた」
−書き始めたきっかけは。どんな執筆生活を送っていたのか。
「横浜流星とは10年来の親友で、ある切り抜き動画を見たのが原点。『人間のキラキラした部分じゃなく、内にあるリアルな物を僕らで作ってみようか』という所から始まりました。ありがたいことに、お互いに忙しくさせていただいたので、時間は見つけるものだなと学びました。ライブが仙台で終わったら、キャリーバッグを持って、横浜流星の家に行って、2人で朝5〜6時までああだこうだとディスカッションをしながら、カタカタと打っていった。寝る間を惜しんで書いていたのがリアルです」
−文章は得意か。
「苦手ではなかったけど、国語の成績がずばぬけて良いとかではない。本が好きになったのは、RAMPAGEになってから。寮で共同生活してた時に川村壱馬が本を貸してくれて、それがめっちゃ面白くて、そこから本にハマりました。書いてみようと思ったターニングポイントは、コロナでステイホームとなった時。普段はパフォーマーとして身体表現をしているけど、ステージがなくなった時に無力感を感じて。ボーカルなら歌詞に乗せて言葉を伝えられるけれど、パフォーマーはマイクを持たない。言葉を伝える機会が全くなかったので、言葉への憧れや敬意が人一倍ありました」
−今作の出来栄えは。
「わが子のような感じでもちろん親バカになってしまうけど、読者から『一気読みしちゃった』とか『本へのハードルが下がった』みたいなお言葉をいただいた。無駄をそぎ落として一気読みすることをかなり意識して書いたので、うれしいお言葉でした。メンバーで一番本を読まなそうな浦川翔平が『普段本を読まないあっしがページをめくる手が止まらなくなりやした』とSNSで書いていて、うれしかったです」
−映画化の意識は。また小説家としての夢は。
「この作品がたくさんの人をワクワクさせるエンターテインメントになればと思っているので、読者の応援次第じゃないですかね(笑)。最近、次の作品を書き始めました。(9月に)RAMPAGEで東京ドーム公演があった。自分で言うと調子に乗るなかもしれないけど、東京ドームに立つ小説家って少ないと思うんです。その光と影を書きたい。デビュー作は色眼鏡で見られると思って、自伝っぽくなりたくなかった。僕は反骨心があるタイプなので、住む世界と逆のフィクションを書いて、『こいつは作家としてちゃんとやっていくんだな』というのを表現したくて、今回はハードな世界観を書いた。逆に二冊目は自分かいわいに持っていって、得意分野を発揮してもいいんじゃないかな」
◇岩谷翔吾(いわや・しょうご)1997年3月11日生まれ。大阪府出身。EXPG大阪校出身で、11年から3年間GENERATIONSのサポートメンバーとして活動。14年にTHE RAMPAGEのメンバーに選ばれ、17年1月にメジャーデビューした。最近ハマっていることは「ずっと筋トレしている。東京ドーム終わった翌日は体もしんどかったけれど、居ても立ってもいられなくて、気付いたらジムにいた。その時は自分大丈夫かなって思った」。