最先端IT「CEATEC 2024」に集結 AIで革新的なデジタル体験 “人間らしさ”と価値観を重視した技術の可能性

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「CEATEC 2024」が開幕し、AI(人工知能)を活用した分析技術が注目され、健康状態を測定する顔認証や、脳波解析で精神状態を可視化する技術が展示された。
専門家は、技術の進化とともに「人間らしさ」や新たな価値の追求が重要であると述べている。

「CEATEC 2024」AI活用の新技術が集結

テクノロジーの祭典「CEATEC(シーテック)」が開幕した。

「植物にも感覚はあるんです」と、触るとしゃべる一見普通の観葉植物や、自身が動かしている害虫のポインターに、追尾してくる青いレーザーなどの技術が展示された。

最先端の機器やデジタル技術が勢ぞろいする国内最大の展示会「CEATEC 2024」が15日、千葉市の幕張メッセで開幕した。

2024年、話題になっているのは、AIを活用した分析技術で、世界トップクラスの顔認証技術を誇るNECのブースでは、顔画像からバイタルサインを推定する技術が展示された。

NECプラットフォーム テクノロジーサービス事業部門・大栗玲奈さん:
顔認証の次の技術として、研究開発中の技術です。10秒ほどカメラに映すことで、バイタルを測ることができます。

AIが自撮りした顔の画像を分析し、肌の色の変化などを検知して、体や精神の状態をチェックすることができる。

福井慶仁記者:
すごい。脈拍、血中酸素、呼吸、表面血流、脈拍のゆらぎが測定できます。

NECプラットフォーム テクノロジーサービス事業部門・大栗玲奈さん:
ゆらぎは、ストレスと相関のある値で、今の状態としては、ストレスがある。

続いて音響メーカーのブースでは、「生成AIによる見える化の進歩」をアピールしていた。
頭に脳波を測る機械を取りつけ、映像を見ながらしばらく待つと、映像と曲が流れ始めた。

福井慶仁記者:
お、これは結果が出始めているんですね。「あなたの心の奥底はかなり病んでいます」えー!

急に流れ出した暗い曲とモノクロの映像は、なんとAIが作成したものだ。

視覚や聴覚、味覚など五感の変化に伴う脳波を測定し、その人の精神状態を表現した映像と楽曲を自動的に作ることができる。

JVCケンウッド イノベーションデザインセンター・中村真巳シニアエキスパート:
人のインターフェースとして、五感は重要。そこをいかに刺激するかで、さらにワクワク感、感動、恐怖も含めて、感動体験をいかにできるかというところを研究している。

さらには、進化を続けるセンサー技術を活用し、デジタルとアナログの融合をはかる企業もあった。

ジャパンディスプレイ Sプロジェクト準備課・吉田公二プロジェクト責任者:
さまざまな素材がタッチパネルになるセンサーを紹介しています。押すと照明がついて、上下で明るさが変わります。使用しているのは、普通の人工芝などの素材です。

石や皮・木材など、絶縁体であれば、スマホの液晶モニターのようにタッチパネル化できるという、こちらの最新技術。
デザイン性を損なうことなく、建築物の床や柱への応用や、インテリアやガジェット開発など、可能性は無限大だとしている。

ジャパンディスプレイ Sプロジェクト準備課・吉田公二プロジェクト責任者:
最近、こういったアナログは少なくなってきている。教育現場では、アナログというのはまだ教育的にいい。やわらかい素材でやることで、身体的に不自由な方でも押しやすいスイッチがあるのではないかとか、そういうことを考えている。

初開催から25周年を迎えたCEATECは、18日まで開催される。

直感的デザインで日常の体験が新時代へ

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーにくわしいIoT NEWS代表・小泉耕二さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
ーーさまざまな未来を先取りしたテクノロジーがありましたが、小泉さんがワクワクしたものは?

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
ジャパンディスプレイの「なんでもタッチパネルになる」技術、これはすごいなと感じました。例えば、みなさんのご自宅には、電気をオンオフするスイッチがありますよね。ああいった「当たり前のもの」のあり方を変える可能性があると思います。

具体的には、タッチパネルなので、押すだけでなく、スワイプ動作や円を書く動作など、さまざまな操作方法が実現できるので、それを意識した新しい、より直感的な意匠デザインが登場するのではないかと思います。

堤キャスター:
ーー新しいデジタル技術によって、私たちの暮らしも変わっていきそうですね。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
NECの顔を自撮りするだけで、脈拍や呼吸数、血流などを推定する技術は、自分の体調の変化を手軽に感じ取るきっかけとなりそうです。

未来では、朝一番に洗面所で歯磨きをしている時に、ちょっとこのAIに推定してもらって、きょうの調子にあった音楽や働き方などを教えてくれる、そんな使い方もできそうです。

「人間らしさ」の追求が技術の発展へ

堤キャスター:
ーーただ、テクノロジーの進化とともに、新たな懸念なども生まれてくるように思いますが、これについては、いかがですか?

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
テクノロジーの進化は、妄想をかき立てますが、その一方で、お金を支払ってもいいと思うようなユースケースを作るのが難しかったり、技術が妄想に追いつかないケースが多々あります。

また昨今、プライバシーの配慮や権利問題なども課題になりがちです。さらに、デジタルによって便利になったり、楽になったりするだけでなく、「人間らしさ」や「人間としての価値観」を大切にしたいと考える人が増えているため、効率化や、機能性以外の価値が求められています。

今回、紹介された技術も、パーソナライズデータを取得できたり、環境や、ウェルビーイングを意識できたり、新しい体験ができたりといった「人間らしさ」をどう実現するかを、テーマとして発展していくことができるのではないかと期待しています。

堤キャスター:
こうした最新の技術が私たちの暮らしを変え、社会課題の解決にもつながっていくことを期待したいです。
(「Live News α」10月15日放送分より)