CS突破、日本シリーズ進出に向けてナインを鼓舞した阿部監督(カメラ・宮崎 亮太)

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 巨人とDeNAが激突する「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」最終ステージ(S)が、16日から東京Dで始まる。吉川尚輝内野手(29)がろっ骨付近を痛めた影響で出場登録が見送られることになった中、阿部慎之助監督(45)は練習前の円陣で「最後には自分たちが勝つ」と説いてチームの意志を統一。20年以来、4年ぶりの日本シリーズ進出を目指す。

 熱血訓示で心を一つにした。CS最終Sの開幕前日練習。阿部監督は東京Dの外野でのアップ前に選手、コーチ、スタッフで作った大きな輪の中心に立った。強い気持ちを持つ大切さを説いた。「勝っても負けても、とにかく最後には自分たちが勝つんだと。そこだけはしっかりと腹を据えてやっていきたい」。全員で覚悟を共有した。

 決戦前に大きな決断を下した。ろっ骨付近を痛めて一部別メニューで調整する吉川のCS出場について「登録はしない。他のメンバーで何とか頑張ってもらいます」と不動の二塁手の登録を見送ることを明言。CS期間は途中登録も可能だが「日本シリーズもどうかなっていうところだから」と厳しい状況を明かした。

 吉川は9月26日のDeNA戦(横浜)で内角球をよけて転倒した際に脇腹付近を負傷した。痛み止めを飲んで同27の中日戦(東京D)、優勝を決めた同28日の広島戦(マツダ)の2試合で計9打数5安打と奮闘。全143試合出場で打率2割8分7厘、堅守でも貢献した。この日はフリー打撃は行わずランニング、二塁でのノックを受け、「今できることを精いっぱいやって一日でも早く戻れるようにやっていきたいです」とコメント。直前までCS出場を目指した闘志は、代役二塁候補の中山、増田大をはじめ仲間に必ず届いている。

 9月以降、しびれる優勝争い、重圧のかかる負けられない試合を続けてきた。それは短期決戦にも通ずる戦いだった。「もう終盤と変わらない。それをみんな勝ち抜いてきてくれたからこの舞台に立てるし、その気持ちでできれば、最後には勝ってるんじゃないですかね」。甲子園で2連勝したDeNAを受けて立つことはしない。挑戦者として立ち向かう。

 2週間、真剣勝負の実戦から遠ざかり、一部選手は宮崎のフェニックス・リーグでも調整した。「長いですね。なかなか難しい期間でした」。準備は尽くした。もう、やるだけだ。「ワクワクしています。特に特別なことはやろうと思っていない。取れる1点を取りにいく。(監督として)流れをどう自分で読み取るかが一番大事かなと思います」。日本一まで7勝。先を見ず一戦必勝で最初の山、CSに挑む。(片岡 優帆)