「キットカット」1枚にエネルギー表示 菓子を適度に楽しみバランスのよい食生活を送るためのガイドを導入開始
ネスレ日本はチョコレートブランド「キットカット」の外装に個包装1枚あたりのエネルギー表示をデザインした。
外装の裏面には1日2枚までの摂取を推奨する文言と、子ども(4〜8歳程度)に与える場合には適切に調節することを推奨する文言をビジュアルを添えて表示。
これらの表示は「ビジュアルポーションガイダンス」と称し、生活者が視覚的・直感的に1食分の摂取カロリーを把握することで食べ過ぎを防止し、菓子を適度に楽しみバランスのよい食生活を送るためのガイドとなる。
主要商品を皮切りにガイドを順次導入し、2026年までに「キットカット」全品に導入する。
今回の動きは、スイスのネスレがグローバル指針として定めた「Good for You戦略」の中長期目標に即したもの。
中期目標では「おいしくてバランスのとれた食事を現在、そしてこれからの世代の数十億の人々にもたらし続ける」を掲げている。
ネスレは2023年9月に菓子・アイスクリームのカテゴリでコミットメントを追加。“子ども向け製品の1食分を110キロカロリー以下とする”ことと“複数回分の量を包装する製品の表面に1食分をわかりやすく伝える”ことを定めた。
10月7日、発表したネスレ日本の原田大輔マーケティング&コミュニケーションズ本部コーポレートアフェアーズ統括部ウエルネスコミュニケーション室室長は「我々はインフォームドチョイスという考え方を大事にしており、消費者に賢く情報を得ていただきたい。パッと見て1枚・1食分のエネルギーを把握し、そこから栄養成分表示の具体的な内容を理解いただきたい」と語る。
「キットカット」に今回導入されたガイドついて、女子栄養大学の上西一弘栄養学部栄養生理額研究室教授は「今食べているもののエネルギーが一目瞭然なのがすごくいい。似たようなお菓子の1箱・1袋当たりのエネルギー表示では分かりにくいところもある」と述べる。
ネスレの「Good for You戦略」は、ポートフォリオ+製品とコミュニケーション+サービスの2つを柱とし、ポートフォリオ+製品は以下の4つのセグメントに分類される。
――時折の贅沢(菓子・アイスクリーム)
――心の楽しみ(調理済・調味料食品・粉末液体飲料)
――毎日の良い食習慣(水・ブラックコーヒー・乳製品・プラントベース)
――専門的な栄養(乳児用食料・サプリメント・医療用製品・栄養補助食品)
このうち“専門的な栄養”を除く3つのセグメントは、食品を栄養素の含有量などで区分する栄養プロファイル(NPS)を用いてそれぞれ設定されている。
「世界中にある様々なNPSの1つヘルススターレーティングを用いて分類・評価しているのがポイント」(ネスレ日本の原田氏)という。
「Good for You戦略」の推進は、グローバル企業として社会により良い影響を与えていくという使命感の強まりが背景にあるとみられる。
「信用される企業として世界に好影響を与えるには、その分、責任を持って製品・事業を展開していかなければならない。ネスレが何者であるか、ネスレのやりたいことを知っていただき信頼を得ていくことが大事」(同)と力を込める。
この考えのもと透明性をコミットメント。ネスレの年次報告書では4カテゴリの売上構成比を公開し、公式サイトで閲覧可能としている。
4カテゴリのうち、“時折の贅沢”と“心の楽しみ”の2カテゴリでは、「GUIDE(ガイド)」を志向。売上追求の考え方とは一線を画し、糖類や塩分を摂り過ぎないようにバランスのよい食事によりそうものとして提案していく。