米大統領選、トランプの「経済政策」に潜む重大懸念
東洋経済新報社の記者・編集者が、SBI証券のチーフエコノミストの松岡幹裕氏とともにマーケットを展望する動画連載「Market Trend Report」。第12回前編は「アメリカ大統領選挙:トランプ政権誕生時の経済政策」です。松岡氏が解説します。
「歴史的に見ても異例のイベントとなる可能性がある」
SBI証券のチーフエコノミストの松岡幹裕氏は、11月のアメリカ大統領選で第2次トランプ政権が誕生した場合の関税政策のインパクトをこう予想する。
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トランプ氏が政権をとった場合、すべての輸入に10%、中国からの輸入には60%の関税を導入するという貿易政策の案が示されている。この政策が実施されると、単純計算ではアメリカの関税収入は対GDP比で約0.3%から約1.9%に上昇する。
歴史的に見ると、同比率は関税が重要な税収源だった19世紀後半の1%台後半から、自由貿易で関税を下げる流れが強まり1930年代後半からは0.2〜0.4%程度で推移してきた。
「トランプ氏の政策で1.9%まで上がれば、150年前の水準に戻ることになる」
と、松岡氏は指摘する。
アメリカがこのような政策を実施した場合、相手国からの報復措置は避けられず、世界的に主要国の貿易依存度が下がり、自由貿易が後退する流れが加速しそうだ。輸出主導型の経済成長が難しくなり、世界的に所得や資産の格差が増幅する方向に進む可能性がある。
詳しい説明については動画をご覧ください。
(『会社四季報』編集部)