ニュース性を持たせることで、メッセージをパワーアップさせることができます(写真:mits/PIXTA)

人はニュース性に飛びつきます。同じことを言う場合でも、言い方を少し変えるだけで、途端にニュース性を帯びてきます。自己紹介、顧客への営業、上司への報告・プレゼン、企業・個人の対外発信……。あらゆるコミュニケーション場面で、ニュース性は武器になります。『世界標準の説明力』から抜粋のうえ、12種類のニュースの型をご紹介します。

ニュースバリューとは何か?

「広報」や、ジャーナリズムの分野で頻出する重要な概念に、ニュースバリューがあります。

ニュースバリューとは、ニュース価値とも言います。簡単に言うと、ニュースを構成する価値、要素のことです。この知識があると、何が「ニュース」になるのか、ならないのか、判断ができるようになります。

説明の論理構造自体に齟齬はないが、どうも中身はつまらないことがある場合、つまり肝心のメッセージが弱い場合、どうすれば、ターゲットオーディエンスの関心をより引くような、メッセージへと変えていくことができるでしょうか?

言うまでもなくニュースとは、耳目を引くに値する情報ですね。

つまり、ニュース性を持たせることで、メッセージをパワーアップさせることができそうですね。

では、ニュースバリューにはどのようなものがあるのでしょうか?

以下のリストが、筆者が思うニュースバリューの一覧になります。

時事性:いま現在起きている、起きて間もない要素
メッセージ改善例:
3カ月後に行われる大会 → 現在建設中のスタジアムで行われることになる大会

新規性:新しい、いままでになかった要素
メッセージ改善例:
インドへ旅行に行く → 人口がとうとう世界1位になったインドへ行く

公共性:世の中に広く関わる、多くの方に関わる要素
メッセージ改善例:
広報担当者として活躍する → メディアを通じて市民の知る権利に奉仕する

将来性:今後の社会にとって、いい意味で大きく関わってくる要素
メッセージ改善例:
早寝早起きを心がける → 夜間の電気消費量の50%削減を習慣化する

人間性:人間らしい、ヒューマンドラマがある要素
メッセージ改善例:
家族で引っ越しをする → 3歳の娘が初めて自分の部屋を持つことになる

独自性:他にない、特有の要素
メッセージ改善例:
東海道新幹線下りのE席 → 富士山が右手に大きく見える窓側の座席

意外性:思ってもいなかった、驚くような要素
メッセージ改善例:
3試合連続で勝つ → 次勝てば、4試合連続勝利は史上初となる

希少性:めったにない、珍しい要素
メッセージ改善例:
東京では今年12月24日は雨 → 東京のイブは統計上9割以上の確率で晴れなのに

緊急性:差し迫っている、時間制限がある要素
メッセージ改善例:
かの国では核開発疑惑がある → 終末時計が午前0時まであと90秒に

ビジュアル性:視覚的に魅力がある、見ごたえのある要素
メッセージ改善例:
海釣りで沖に出る → 沖に出て水平線に沈む夕日を見に行く

逆説性:通常とは逆になっている要素
メッセージ改善例:
成長するためには、いつも君らしく → 成長するためには君らしくなく、してみよう

最高性:一番、ベスト/ワーストな要素
メッセージ改善例:
優勝を目指した結果、銅メダルだった → 自己ベストの結果を出した

これらの要素を含める「説明」は、ターゲットオーディエンスに対してより訴求力を発揮します。

ニュースバリューはちょっとした言い換えで生まれる

実際、「広報」の業務では、同じ事象をニュースバリューの観点から見方を変えて言い換えることで、メッセージが伝え手だけでなく、受け手にとっても自分ゴトになるような工夫をすることがよくあります。


ニュースバリューを意識した情報発信が意識できれば、「説明」は、ニュースと同様に、より耳目を引くものになります。

特にこの中でも、最高性などは、物事を魅力的に見せる際の言い換えに、よく使われる要素です。

また将来性の要素は、情報やそれを含むメッセージが、社会や世界をどのように変えるのかを伝えることになるため、伝え手だけでなく多くの受け手にとっても、無視できないものになりやすいです。

この将来性というニュースバリューをより重視することで、メッセージを大幅にパワーアップさせることができます。

(岩澤 康一 : コミュニケーションコンサルタント)