A18 Pro搭載のiPhone 16 Proに買い替えるべきなのか?iPhone 15 ProやiPhone 16とベンチマーク結果を比較検証してみた
2024年9月20日(金)に登場したAppleのiPhone 16 Pro/Pro Maxは、AIに特化して開発されたSoCの「A18 Pro」を搭載したフラッグシップモデルで、Apple独自のAI機能「Apple Intelligence」に対応したiPhoneです。そんなiPhone 16に搭載されているA18 Proの性能をチェックするべく、A18が搭載された「iPhone 16」やA17 Proが搭載された前世代モデルの「iPhone 15 Pro」とベンチマーク結果を比較してみました。
https://www.apple.com/jp/iphone-16-pro/
iPhone 15 Pro・iPhone 16・iPhone 16 Proに搭載されているSoCのスペックは以下の通り。3モデルのベンチマーク結果をまとめた表はここをクリックするとジャンプしてチェックできます。
iPhone 15 ProiPhone 16iPhone 16 Pro搭載SoCA17 ProA18A18 Proアーキテクチャ64bit ARMv8.6-A64bit ARMv9.2-A64bit ARMv9.2-A製造プロセスTSMC 3nm (N3)TSMC 3nm (N3E)TSMC 3nm (N3E)CPUコア6コア:高性能コア×2+高効率コア×46コア:高性能コア×2+高効率コア×46コア:高性能コア×2+高効率コア×4L1命令キャッシュ128KB128KB128KBL1データキャッシュ64KB64KB64KBL2キャッシュ16MB(高性能コア)
4MB(高効率コア)16MB(高性能コア)
4MB(高効率コア)16MB(高性能コア)
4MB(高効率コアGPUApple A17 Pro GPU 6コアApple A18 GPU 5コアApple A18 GPU 6コアAIアクセラレータApple Neural Engine 16コア
35TOPSApple Neural Engine 16コア
35TOPSApple Neural Engine 16コア
35TOPSRAM8GB LPDDR58GB LPDDR58GB LPDDR5
A18 ProのCPUコアは前世代のA17 Proからプロセスルールと設計が変更されており、Appleは「A17 Proよりも最大15%速くなっている」とアピールしています。また、NPUであるNeural Engineについては、A17 ProとA18・A18 Proで同じ35TOPSという演算性能を示していますが、メモリ帯域幅が向上したことでA18・A18 ProはAI処理性能が向上しているとのこと。
A18とA18 Proの差はスペックだけ比較するとGPUコアの数のみですが、半導体解析調査を行うChipwiseのエンジニアであるHigh Yield氏は、そもそもA18とA18 Proが異なるチップとして設計されていると指摘しています。
Quick #Apple A18 Pro / A18 chip analysis based on pictures by @chipwise_tech. Let me know if I made any mistakes or you have something to add. pic.twitter.com/zmmgWlgoMK— High Yield (@highyieldYT) October 1, 2024
実際にCPU・GPU・Neural Engineの性能を比較検証するべく、iPhone 15 Pro・iPhone 16・iPhone 16 Proで「Geekbench 6」と「Geekbench AI」を使ってベンチマークテストを行いました。テストは室温25℃環境で3回行い、最も高い得点を結果としています。
◆iPhone 15 Pro
まずは3モデルの中で唯一iPhone 15シリーズとなるiPhone 15 Proのベンチマーク結果。CPUのシングルコアパフォーマンスは2842、マルチコアパフォーマンスは7020でした。
GPUのパフォーマンススコアは28562でした。
Geekbench AIによるAI性能のベンチマークテスト結果。Single Precision(単精度浮動小数点演算)のスコアは4002、Half Precision(半精度浮動小数点演算)のスコアは24371、Quantized(量子化演算)のスコアは33479でした。
◆iPhone 16
続いて、iPhone 16 Proの下位モデルで、A18チップを搭載したiPhone 16のCPUベンチマーク結果は、シングルコアパフォーマンスが3129で、マルチコアパフォーマンスが7622でした。
GPUパフォーマンスのスコアは28007。
Geekbench AIのスコアは、Single Precisionが4239、Half Precisionが32264、Quantizedが44258でした。
◆iPhone 16 Pro
iPhone 16 ProのCPUベンチマークスコアは、シングルコアパフォーマンスが3376、マルチコアパフォーマンスが8219.
GPUパフォーマンスは32954。
Geekbench AIのスコアはSingle Precisionが4601、Half Precisionが32135、Quantizedが44672でした。
◆まとめ
3モデルのベンチマークスコアをまとめたのが以下の表。
iPhone 15 ProiPhone 16iPhone 16 ProSoCA17 ProA18A18 ProCPUシングルコア284228413376マルチコア702070128219GPU285622841232954Neural EngineSingle Precision Score400242394601Half Precision Score243713226432135Quantized Score334794425844672
CPUとGPU性能については、A17 ProとA18のスコアを上回っています。AI性能となるNeural EngineのベンチマークスコアはA18とほとんど同等で、前世代のA17 Proよりは向上しています。Neural Engineを使った演算処理はA18とA18 Proでほとんど違いはありませんが、CPUとGPUの性能はやはりA18 Proの方がA18よりも上。総合的にはiPhone 16 Proに搭載されているA18 Proが性能として一番高いことになります。ただし、記事作成時点でAI性能の高さが発揮されるApple Intelligenceは日本では展開されておらず、高いグラフィック性能が求められるゲームをプレイしたり動作の重いアプリを使用したりするのでなければ、今すぐ買い替える必要はなさげです。