所有欲を満たすルックスと約4020万画素が織りなす富士フイルム「X-T50」の“深み”とは
【趣味カメラの世界 #6】
カメラを選ぶときに、皆さんは何を重視しますか? 機能や見た目、価格など、何を重視するかは人それぞれですが、特定のブランドを“指名買い”する人も少なくないはず。中でも、FUJIFILM(富士フイルム)はその筆頭ではないでしょうか。スマホ全盛の時代になぜカメラで写真を撮るのか…。その答えを、「X-T50」を通して、フォトグラファーの田中さんと考えていきます。
田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている
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FUJIFILM(富士フイルム)の「X-T50」(実勢価格:24万6400円前後/ボディのみ)は、クラシカルな外観に軽量コンパクトなボディ、価格帯的にはミラーレス一眼カメラのエントリーモデルです。
しかし、その中身は上位モデルである「X-T5」と同じ撮像素子と画像処理エンジンを搭載しており、そういう意味でも現在高い注目を集めているカメラです。
■まさに富士フイルムならでは。どこか懐かしさを感じさせるクラシックな外観がたまらない
本機のデザインは、クラシカルなフィルムカメラを彷彿とさせる「X-Tシリーズ」を継承。前モデルの「X-T30II」や上位機種の「X-T5」と比べると、軍艦部などが丸みを帯びたデザインになっていて、レトロ感とともに、ほんのりやさしい印象に仕上がっています。
軍艦部にはシャッタースピード、露出補正、フィルムシミュレーション(※)を設定するためのダイヤルがあります。
今回借りたレンズ「FUJINON XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」(実勢価格:4万円前後)には絞りダイヤルがついていませんが、XFレンズの多くは絞り環がついているので、パッと見で現在の設定が分かるようになっています。
こういったダイヤル操作は、往年のフィルムカメラを使っているようなワクワク感を味わえます。
※撮影意図に合わせてコントラストや色味などを、ボタンひとつで調節できる富士フイルム独自の機能フォーカスモードはボディ前面のレバーで切り換えます。この操作が地味に便利で、慣れればファインダーを覗いたままフォーカスモードを切り換えられます。
シャッタースピードのダイヤルの横にはAUTOモードの切り換えレバーがあります。
AUTOモードにすれば、シーンに最適な撮影モードをカメラが自動的に認識、被写体も自動で検出してくれるので、カメラ任せで手軽に撮影できます。
「X-T50」と「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」の組み合わせは、実測で約570g(バッテーリー、メモリーカード込み)と軽量。おおよそ女性でも軽々と片手で持てるサイズ感と重量ではないでしょうか。
それに、見た目もおしゃれなので所有欲も満たしてくれます。
コンパクトなんですが、ホールド性などはかなり考えられているようでした。ボディ後ろ側のQボタン部分の出っ張りが高いのと、前面のグリップ部分は深さがあるので、グリップ感はかなり良いです。
コンパクトさを重視すると、グリップ感が犠牲になりがちですが、親指の引っ掛かりが良く、しっかりとカメラを支えられます。
レビューのために2〜3時間ほどカメラを持ちながら歩いてみましたが、自然なグリップ感でカメラとの一体感がありました。
■その真価は見た目だけにあらず。最新センサーと進化したオートフォーカスに注目!
ここからは実際に「X-T50」で撮影した作例で、最新世代のセンサーや進化したAF(オートフォーカス)などについて見ていきたいと思います。
▲ シャッタースピード1/2500秒、F5.6、ISO500、焦点距離68mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ
「X-T5」と同じ、第五世代「X-Tran CMOS 5 HR」センサーと「X-Processor 5」を搭載。4020万画素の高解像センサーは細部まで繊細に描写します。
レビュー用に借りた「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」は、Xシリーズ用の交換レンズとして最小・最軽量の携帯性を重視したレンズですが、写りに関しても妥協がなく、思っていたよりも良く写ります。
▲ シャッタースピード1/2500秒、F3.5、ISO250、焦点距離23mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:REALA ACE、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ
パキッとメリハリの効いたコントラストが特徴のフィルムシミュレーション「REALE ACE」。
空の青と緑がキレイに発色しています。素直で癖のないキレイな発色は富士フイルムのカラーに対するこだわりが感じられます。
▲ シャッタースピード1/400秒、F5.0、ISO400、焦点距離41mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ
歩きながら撮影しても、瞳にAFをきちんと合わせてくれます。あえてメガネをズラした、AFには少々意地悪なシチュエーションでも、安定して被写体を追従していました。
ボディには手ぶれ補正機能が搭載されていて、歩きながらラフに撮ってもしっかりとブレを防いでくれます。
▲ シャッタースピード1/250秒、F5.6、ISO400、焦点距離68mm(35mm換算)、フィルムシミュレーション:CLASSIC Neg.、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ
レンズキットとして販売されている「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」。望遠端での絞りは5.6とそこまで明るくはないですが、結構寄れるのでボケを活かした撮影もできます。
WEB用にリサイズされた写真でも、髪の毛一本一本をきっちりと解像しているのが分かります。これは「X-Tran CMOS 5 HR」センサーの本領発揮といった感じでしょうか。
■コンパクトなボディに秘めたる最高画質が“写真欲”を掻き立てる!
本機は、丸みを帯びたクラシカルでコンパクトなボディに、最新世代のセンサーとプロセッサー、ボディ内手ブレ補正機構と進化したAFアルゴリズムなど、Xシリーズの最新の性能が満載。
アナログな操作性が楽しめるダイヤル・オペレーションやオシャレな外観など、カジュアルに楽しむだけではなく、画質にも妥協したくないユーザーにもうってつけだと思います。
レンズキットの「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」との組み合わせについても、総重量が約570gと、持ち歩きが苦になりません。しかも、Xシリーズのレンズラインナップはコンパクトで高性能なレンズが豊富にあるので、「X-T50」の実力をさらに引き出すのも大いにアリ!
さて、次回も引き続き「X-T50」を深堀りします。次回は、今回チラッと登場した「フィルムシミュレーション」を活用した作例をたっぷり紹介。SNSで映えること間違いナシですので、ご期待ください!
>> FUJIFILM
>> 趣味カメラの世界
<取材・文/田中利幸 モデル/田淵瑚都(@tako_ism) 取材協力/FUJIFILM>
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