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AutomatticのCEOでWordPressの開発者でもあるマット・マレンウェッグ氏が、WordPressに特化したホスティングプラットフォームであるWP Engineを「WordPressの癌(がん)」と呼んで批判しました。WP Engine側はマレンウェッグ氏の批判内容を否定しています。

WP Engine is not WordPress - WordPress News

https://wordpress.org/news/2024/09/wp-engine/

Matt Mullenweg calls WP Engine a 'cancer to WordPress' and urges community to switch providers | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/09/22/matt-mullenweg-calls-wp-engine-a-cancer-to-wordpress-and-urges-community-to-switch-providers/

WordPress自体はウェブサイトの40%以上を支えるオープンソースのウェブサイト構築プラットフォームであり、個人や企業がこれを利用して独自のウェブサイトを運営することが可能です。一方で、このWordPressを利用してホスティングサービスや技術的な専門知識を販売するビジネスも数多く生まれており、Automatticもマレンウェッグ氏自身が立ち上げたプロジェクトを収益化するための企業の1つ。また、WP EngineもWordPressのマネージドホスティングサービスとして、2011年にAutomatticから投資を受けています。

しかし、WordPressのユーザーイベントであるWordCamp US 2024で、マレンウェッグ氏はステージに上がるなり、「AutomatticとWP EngineはWordPressの持続的な成長を支えるリソースを提供する」という誓約に言及し、「Automatticは週3900時間を投資しているのに対して、WP Engineはわずか40時間しか投資していない」と批判。さらに、「AutomatticとWP Engineは5億ドル(約720億円)前後と、ほぼ同じ規模の収益をあげているにもかかわらず、WordPressへの投資額には注目するに値するほどの差がある」と述べました。



by Claudio Schwarz

マレンウェッグ氏は「WP Engineは、運用資産1020億ドル(約10兆4400億円)のプライベートエクイティファンドであるSilver Lakeによって管理されています。Silver Lakeはオープンソースの理念など無視し、資本利益率だけを追求しています。ですから、WordPressコミュニティの皆さんには財布で投票してもらいたいのです。誰にお金を渡すのでしょうか?エコシステムを育てる会社ですか?それとも、エコシステムが枯渇するまで金を搾り取ろうとする会社ですか?」と訴えかけました。

その後、マレンウェッグ氏はWordPress公式ブログに「WP EngineはWordPressではありません」という記事を投稿し、オープンソースのWordPressを長年商用化してきたWP Engineが利益だけを追求し、WordPressの重要な機能を無効にしていると批判。WP EngineはWordPressの公式サービスであるかのような振る舞いをしているものの、WP Engineが提供しているのは本物のWordPressではなく「改変されたバージョン」であり、WordPressの本来の機能や価値が失われていると主張しています。



例えば、WP Engineは「サイトの速度向上」を理由にWordPressのリビジョンシステムをデフォルトで無効にしており、3つ以上のリビジョン、あるいは60日が経過したリビジョンは自動的に削除されます。マレンウェッグ氏は、この施策はデータ保存コストを削減するために行われているのが真実だと主張しています。

マレンウェッグ氏は「WordPressはコンテンツ管理システムであり、コンテンツとは神聖なものです。すべてのページ、すべての投稿に加えた変更は、Wikipediaと同様にリビジョンシステムで追跡され、ミスがあってもいつでも元に戻せます。また、ページに何かがある理由を知りたい場合は、その原因となった履歴と編集内容を正確に確認できます。これらのリビジョンは、データベースに保存されます。これは非常に重要な機能で、データを保護するというユーザー保証の中核であり、WordPressが何も失わないように設計されている理由です。しかし、WP Engineはこれを無効にしています」と述べています

マレンウェッグ氏は、WP Engineの方針が他のホスティング企業に悪影響を与える可能性を懸念しており、WP EngineをWordPressにとっての癌であると表現。加えて、ユーザーに対しては、他のホスティングサービスの利用を検討するように促しています。



by WordCamp United States

「繰り返して言いますが、WP EngineはWordPressではありません。私の母は混乱して、WP EngineがWordPress公式のサービスだと勘違いしていました。彼らのブランディングやマーケティング、広告、そして顧客に対する約束はすべて『WordPressを提供する』というものですが、実際はそうではありません。そして、彼らはその混乱から利益を得ているのです」とマレンウェッグ氏は訴えました。

なお、WP Engineはマレンウェッグ氏の一連の批判に対し、「私たちに対する攻撃は不当なもので虚偽であり、明らかに私たちの事業に損害を与えるために計画されたものです」と否定。さらに、「Automatticとマレンウェッグ氏に対して、WP Engine に対する虚偽、有害、中傷的な発言をやめ、撤回するよう要求しました」と述べています。