『ときメモ』が30周年で大復活。あの頃の恋愛ゲームを振り返る
その後女性向け恋愛シミュレーションは、NECホームエレクトロニクスがPC-FX向けに出した『アルバレアの乙女』(1997年)など数本があった程度で、本格的な発展は2000年以降を待つことになります。
●NOeL NOT DiGITAL
1996年/パイオニアLDC
1996年にPS1で発売された『NOeL NOT DiGITAL(ノエル・ノット・デジタル)』は、ある意味で時代を先取りしすぎたタイトル。夏の海辺で3人の女子高生と出会った主人公は、ビデオ通話で会話を続け、クリスマスまでに仲を深めていきます。アニメで多彩に表情を変えながら滑らかに動くヒロインたちのビジュアルと、女子高生らしいリアルな会話は、現代にも通じる感覚がありました。
◆ゲーム史に名を刻むセガの恋愛ゲーム
●サクラ大戦
1996年/セガ
1996年にセガサターンで発売された『サクラ大戦』は、恋愛と戦略シミュレーションが融合した「ドラマチックアドベンチャー」。数多くのアニメやゲームを手掛けてきたクリエイター・広井王子氏が総合プロデューサーを務めました。もうひとつの大正時代「太正」を舞台に、平時は大帝国劇場のモギリ係、非常時は「帝国華撃団」の隊長となって少女たちとともに帝都の平和を脅かす「降魔」と戦っていきます。
正義感が強くて明るい性格ながらヤキモチ焼きの真宮寺さくら、高飛車なお嬢様の神崎すみれ、フランスから来たおしゃまな少女アイリスなどヒロインは個性派揃い。大正ロマン世界でのスチームパンクという目新しい切り口や、リアル舞台「サクラ大戦・歌謡ショウ」で2.5次元のパイオニアとなった意義など、恋愛ゲームの枠を超えて、ゲーム史のマイルストーンとなった作品です。
●トゥルー・ラブストーリー
1996年/アスキー
『ときメモ』のヒットを受け、さまざまなメーカーから恋愛ゲームが発売されていた1990年代半ば。特にファンから支持を集めたのが、1996年にPS1で発売された『トゥルー・ラブストーリー』です。
主人公は青空高校に通う2年生。1ヵ月後に転校が決まり、学園での思い出づくりに励むことに……。ゲーム冒頭で春夏秋冬、四季のいずれかを選べるのがポイント。メインヒロインとして高い人気を誇ったピアノ好きの桂木綾音をはじめ、登場するヒロインはいずれも身近にいそうな親近感がありました。
下校時のヒロインたちとの会話は「天気」「進路」「テレビ」「占い」「男性の好み」など選択肢豊富。仲良くなっても、転校というタイムリミットが迫る空気感も青春の切なさを醸し出しています。
当時アイドルだった仲間由紀恵さんが主題歌を担当。CMも仲間由紀恵さんが制服姿で出演していました。シリーズは4作発売され、その後も『キミキス』『アマガミ』など系譜を受け継いだタイトルが登場しています。
●センチメンタルグラフティ
1998年/NECインターチャネル
1998年にセガサターン向けに発売された『センチメンタルグラフティ』は、最高潮だった恋愛シミュレーションブームを象徴するような1本です。メディアミックス企画として、本編発売前から大きな話題となり、数量限定の予告用ディスク『センチメンタルグラフティ ファーストウィンドウ』がプレミアム価格で取り引きされていたのを覚えています。
主人公は幼い頃から親の仕事の都合で転校を繰り返していた少年。春休みを間近に控えたある日、「あなたにあいたい……」という差出人不明の手紙が届きます。