得点阻止ハンドでノーカード「あり得ない」 物議のPK判定…ゴール方向への軌道「基本はレッド」
東京V対鹿島のハンドPK判定シーン、ノーカード提示判断にJFA見解
日本サッカー協会(JFA)は9月11日に審判委員会によるメディアブリーフィングを実施。
東京ヴェルディと鹿島アントラーズの試合で、東京VのDF綱島悠斗がハンドの反則により相手のシュートを阻止した場面について、JFA審判マネジャーの佐藤隆治氏は「ノーカードはあり得ない」として、適切なカード提示がなかったと話した。
この場面は東京Vが2-0でリードした後半41分、鹿島の右からのクロスにGKマテウスが飛び出すボールがファーサイドに流れ、鹿島MF藤井智也がシュート。これを綱島が身体を投げ出してブロックし、フィールド上で笠原寛貴レフェリーはノーファウルとしたものの、荒木友輔ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入しオンフィールド・レビューを実施。笠原レフェリーはハンドの反則として鹿島にPKを与えたが、綱島にカードは提示しなかった。
佐藤マネジャーは「レフェリーはノーファウル。胸か肩か腕か、難しかった。その後のカードの色は、現場ではノーカード。それはあり得ない。GKが飛び出していてエンプティ・ゴール(無人のゴール)の考え方。得点の阻止だと判断すべき」と話した。
一方で「シーズン当初なら、簡単にレッドカードの判断になる。ただし、夏の競技規則改正があった」と、ハンドの反則に関するルール変更が判断に影響を与えた点を指摘した。世界共通のものである今夏の改正では、意図的なハンドの場合はレッドカードになるが偶発的なハンドの場合は一段下がってイエローカードになる。この点について佐藤マネジャーは、綱島のプレーが明らかに腕でボールを止めようとしたとは見えないものでもあり、これを踏まえてイエローカードと主審が判断しても支持できるものとしている。
そして、現場では映像を何度も前後させて「枠内シュートがどうか判断しようとしていた。ゴールに入らないシュートと判断したので、現場のレフェリーはノーカードとした」と経緯を説明した。佐藤マネジャーは「ただし、これはギリギリ入っていようがいまいが、ゴール方向に飛んでいるボールをハンドで止めた。それは枠内シュートをハンドで止めたと判断すべき。基本的な考え方はレッドカード」と話す。
VARとの関係についても「レフェリーは枠外に飛んでいるとして、VARもそれをコンファームしているが、この映像からゴールに向かっていないと判断できるか。もう少しコミュニケーションの取り方があった方が良かったかもしれない」と、改善点があったことを話していた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)