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2024年10月から、パートなどの短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が拡大され、従業員数51人以上の企業も対象となります。パートやアルバイトで働く人にとって避けては通れないのが「扶養」ですが、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんは「扶養の制度について『複雑すぎてわからない』と感じている人が多いのでは」と指摘しています。そこで今回は、塚越さんの著書『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』から一部引用、再編集してお届けします。

【表】パート、アルバイトの社会保険適用範囲が拡大される流れ

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3つのメリットが、「扶養内で働く方が賢い」と思わせる

世の中の流れや実際に寄せられるマネー相談の経験から、「夫の扶養内で働くほうが賢い」という世間一般の雰囲気を感じます。

下記で紹介する扶養の「3つのメリット」を念頭に置いているからでしょう。


<『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』より>

夫の社会保険があれば、妻も適用対象となり、病気・ケガ、出産時の保障を得られ、保険料の負担はありません(国民年金加入者としての権利もある)。

他にも、夫の給料に対する税金も優遇され、会社からは扶養手当ももらえます。

たしかに扶養内でいるメリットはあるものの、「非正規雇用と扶養」の関係も見逃してはならない問題です。

正規雇用に戻るのが難しい現状

女性は出産などで正規雇用を外れてパートなどの非正規になると、その後、正規雇用に戻るのは難しいとされています。

また、非正規の場合、フルタイムで働き続けても労働に見合った給料が得にくいのも現実です。


『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』(著:塚越菜々子/発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)

そうなると扶養内に落ちつくものの、世帯収入が増えない生活からは抜け出せず、不満や不安を抱えてしまいがちです。

今は単純に扶養内で働くのが「賢い」「お得」とは言い切れません。

扶養を正しく理解して、自分はどうすべきか考える。

その後のライフプランなどを踏まえて、自身にとって賢く、得する働き方を選ぶことが大切です。

扶養の仕組みが2024年10月から変わる!

2024年10月より、パートなどの短時間労働者に対する社会保険の適用範囲が拡大されます。

社会保険の加入を義務づける「106万円の壁」が、今後は「社員51人以上の会社」に適用されるのです。

2016年10月に社員501人以上の会社、2022年10月に社員101人以上の会社へと適用範囲が拡大し、今回はより社員数が少ない会社へと適用が拡大されます。

パートで働く人も「社会保険に加入する」流れになっていくわけです。

国はフルタイムで働く人だけでなく、多くの働き手に対して、働き方に見合った社会保障を得ることができ、勤務先の規模で受けられる社会保障に不公平が生じない制度を目指しています。

近い将来、雇われて働く人のすべてが社会保険加入者になる日が来るかもしれません。

今だからこそ重要なこと

パートなどで働く側としては、社会保険料の支払いで、手取りが減るのを心配する方もいるでしょう。

しかし、社会保険や税金のルールを理解し、自分の手取りをイメージすることで、その心配は軽減させられます。

また、勤務先に保険料を半分負担してもらいながら、手厚い社会保障を受けられる点は魅力です。

制度改正で社会保険加入のハードルが下がる今だからこそ、扶養の損得を見極めることが重要です。

※本稿は、『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』(発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)の一部を再編集したものです。