バーレーン戦の地上波中継は行われず【写真:Getty Images】

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【専門家の目|金田喜稔】地上波なしに複数の要因「努力にも限界があるのは理解できる」

 森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング18位)は現地時間9月10日、バーレーンのリファーで行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第2戦でバーレーン代表(同80位)と対戦し、5-0の快勝を収めた。

 「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、「W杯アジア最終予選で地上波放送なしは悲しすぎるというのが偽らざる本音」と危機感を募らせている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 ホームで5-0と快勝した9月5日のW杯アジア最終予選初戦・中国戦は地上波(テレビ朝日)やスポーツチャンネル「DAZN」などで生中継された一方、バーレーン戦はDAZN独占配信となり地上波放送はなかった。

「バーレーン戦は日本代表選手の良さや魅力が随所に見られる好ゲームだった。試合を配信してくれたDAZNには感謝しかないが、欲を言えばホーム中国戦に続いて地上波でも放送があれば、という思いは強い」

 そう語った金田氏は、バーレーン戦の背景も踏まえて“地上波なし”に理解を示す。

「今回のキックオフ時間(日本時間深夜1時)、高騰傾向にある放映権料など複数の要因が重なったのだろうし、日本サッカー協会やテレビ局も努力しているが、慈善事業ではないだけに努力にも限界があるのは理解できる。こうしたケースは今回が初めてというわけではなく、『日本代表戦を地上波で毎回放送するのが当たり前』の時代は終わった」

 一方で日本サッカーの未来や人気低下を憂慮する金田氏は、偽らざる思いを打ち明けながら結んだ。

「日本代表のOB陣や関係者たちも危機感を募らせているし、話題にも上がる。日本サッカーの浮沈や紆余曲折を知っている身からすると、どうしてもサッカーの人気低下を危惧してしまう。さまざまな意見や事情は理解しているつもりだが、率直な心情としては異なる。日本代表OBとして、そして日本サッカーを応援する1人として、W杯アジア最終予選で地上波放送なしは悲しすぎるというのが偽らざる本音だ」

 10月10日(日本時間11日3時キックオフ)のアウェー・サウジアラビア戦はDAZN配信、同15日(19時35分キックオフ)のホーム・オーストラリア戦はテレビ朝日系列とDAZNで放送・配信予定となっている。(FOOTBALL ZONE編集部)