子どもの「喘息」には就寝時マスクが効果的!? 発作が起きたときの対処法や予防法を医師が解説!

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子どもによくみられるアレルギー疾患「喘息」。特に、夜間や早朝に症状がひどくなることは多く、「なかなか寝つけない」「眠っていても咳き込んですぐに起きる」など悩まされることも少なくないでしょう。そんな中、就寝時にマスクをすると発作が起こりにくくなるという話がありますが、果たして本当なのでしょうか。「きむらクリニック ファミリー棟」の木村先生に教えていただきました。

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監修医師:
木村 将裕(きむらクリニック ファミリー棟)

岩手医科大学医学部卒業。その後、東京医科大学病院小児科・思春期科、荻窪病院小児科などに勤務。2024年、東京都江戸川区に「きむらクリニック ファミリー棟」を開院。日本小児科学会専門医、日本小児感染症学会認定医。

喘息発作が夜間や早朝に起きるのはなぜ?

編集部

喘息発作は夜眠っているときや朝方に起こりやすいと聞きました。時間帯で発作が出やすくなるのでしょうか?

木村先生

はい。まず夜眠っているときに発作が起こりやすいのは、自律神経の働きによるものです。眠っているときはリラックスを促す副交感神経が優位になるので、発作が起こりやすくなるのです。

編集部

自律神経について、もう少し詳しく教えてください。

木村先生

人間の自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があり、交感神経には気道を広げる働きが、副交感神経には気道を狭くする働きがあります。就寝中は副交感神経が優位になり、リラックスしているので気道が狭くなり、喘息発作が起きやすくなると言われています。

編集部

早朝に起きるのはなぜでしょうか?

木村先生

明け方には気温が冷え込むので、気道が敏感になって発作が起きやすくなるとされています。また、日中には炎症を抑える働きがあるステロイドホルモンの分泌が盛んですが、夜から早朝にかけて分泌量が低下します。そのため、炎症が強くなりやすいとされています。

編集部

様々な理由が関係しているのですね。

木村先生

加えて、日中は人が動いているため、室内のホコリやダニなどのアレルギーの原因となる「アレルゲン」という物質が、空気中を舞いやすくなります。しかし、寝ているときにはそれらが室内の下の方へ降りてくるため、吸い込みやすくなるということも、夜間や早朝に発作が激しくなる一因と考えられています。

就寝中の喘息発作の対処法

編集部

就寝時に喘息の発作が起きたときの対処法を教えてください。

木村先生

まず、かかりつけの医師から吸入の気管支拡張薬が処方されている場合には、すぐに使用してください。もし吸入しても症状が治らないようなら、20分後にもう一度吸入します。繰り返してもまだ発作が続く場合、受診の目安となります。

編集部

吸入ではない気管支拡張薬の場合はいかがでしょうか?

木村先生

飲み薬や貼り薬タイプの気管支拡張薬が処方されていることもあります。1回使用しても効果がなければ病院を受診しましょう。

編集部

気管支拡張薬がないときは、どうしたらいいですか?

木村先生

水分を補給して、喉を潤しましょう。喉が乾燥していると気管支の粘膜が過敏になり、咳が出やすくなります。ただし、冷たい飲み物は喉の粘膜が刺激され、さらに咳がひどくなる可能性もあるので、常温または温かい飲み物を飲んでください。

編集部

ほかにも対処法はありますか?

木村先生

喉が冷えていると症状が出やすくなります。そのため、ネックウォーマーを使用したり、首にタオルを巻いたりして温めると症状が和らぐことがあります。

編集部

様々な方法があるのですね。

木村先生

そのほか、咳がひどくて眠れないときには、姿勢を変えてみるというのも1つの手だと思います。仰向きやうつ伏せでなく、横を向いた姿勢で寝ると少し症状が和らぐかもしれません。また、椅子に座って背もたれに寄りかかったり、体の下にクッションを敷いたりして上半身を少し高くすると、気道が開いて呼吸が楽になると思います。

就寝時に咳き込まないための予防法

編集部

寝ているとき、喘息発作が出ないように予防するためにはどうしたらいいのでしょうか?

木村先生

「マスクを装着して寝ると、子どもの喘息発作の出現が5割低減する」という報告があります。マスクをつけて眠るというのは、有効な予防法だと思います。

編集部

なぜ、マスクをつけて眠ると喘息発作を予防できるのですか?

木村先生

マスクをつけて寝ることで、喘息の発作を引き起こすアレルゲンを体内に侵入させないということが期待できます。また、マスクの装着で呼吸が適度に加湿加温されますが、そうすると、鼻腔内の繊毛の運動が活発になります。繊毛にはウイルスや細菌などが体内に侵入しないよう体を守る働きがあり、その働きが活発化することで、アレルゲンの排出が促進されるということも考えられます。

編集部

マスクをつけて寝るのは発作予防に効果的なのですね。

木村先生

はい。鼻や喉の粘膜が乾燥するのを防ぐこともできるので、ウイルスなどによる感染症予防にもつながります。ただし、毎日就寝中にマスクをつけていると、息苦しくなる可能性があったり、苦しくて口呼吸の習慣がついてしまったりするといったデメリットもあります。かかりつけの医師に相談しながら、就寝時のマスク着用について検討するのがいいと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

木村先生

喘息の発作が起こりやすいのは、一般的に梅雨や台風の時期とされています。この時期にマスクをつけて就寝すると、喘息発作の予防効果が期待できるかもしれません。また、感染症は喘息発作の誘因になりますが、その流行時期にマスクを着用することで感染が予防され、喘息発作を起こさないようにする効果も期待できます。喘息発作は起こってしまうと非常に苦しいので、できるだけ予防に努めることが大切です。

編集部まとめ

マスクをつけて眠ると、喘息発作が起きるのを予防する効果があるとのことでした。ただし、デメリットもあるため、マスクをつけて眠るのは喘息発作が起きやすい時期にするなど、使い分けるといいでしょう。

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医院情報

きむらクリニック ファミリー棟

所在地〒132-0023東京都江戸川区西一之江3-35-5

アクセス都営地下鉄新宿線「一之江駅」 徒歩10分

診療科目小児科、内科

03-5879-3811

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