「CSR企業ランキング」金融機関のトップ25社
(撮影:今井康一)
『週刊東洋経済』2024年2月10日号で発表した第18回「CSR企業ランキング」(2024年版)。今回は金融機関を対象にした同ランキングを上位25位まで紹介する。
評価には、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編』『同(ESG編)』2024年版掲載情報を用いた。なお、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2024年版には上位50位まで掲載している。
「CSR企業ランキング」金融機関の1位は?
1位には、同ポイントで三井住友フィナンシャルグループ、第一生命ホールディングスが並んだ(得点は393.6点、以下同)。
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三井住友FGは、部門別で人材活用2位(99.1)、環境20位(95.6)、企業統治+社会性6位(98.9)。第一生命HDは、人材活用6位(96.3)、環境6位(97.8)、企業統治+社会性2位(99.5)。両社とも各分野において高位となった。
三井住友FGはグループにおける最大の経営資源を「人材」と位置づける。実際に、従業員1人当たりの教育研修費用は年8万6318円と高水準だ。社内公募制度として、公募対象の部署が従業員に向けてアピールをする「SMBCジョブフォーラム」を開催。企業内ベンチャー制度では、新規ビジネスとして立ち上げた子会社の社長に従業員が就任する事例が複数件生まれている。
第一生命HDは、全国の職場で「地域のしあわせプロジェクト」と銘打ち、地域貢献を推進する。目的は、従業員に地域や社外とのつながりを通じた視野の拡大や経験の積み上げを促し、従業員一人ひとりのQOL向上を目指すことにある。実際に、2022年度のボランティア活動の参加者は3万8745人に上る。また、「QOL向上休暇」を設定し、ボランティア活動に参加しやすい環境の整備を制度面でも後押しする。
3位の日本生命保険(390.5)は、全国207カ所に有する「ニッセイの森」で、138万本超の植樹を実施。全国各地で生物多様性の維持に資するボランティア活動に取り組み、生物多様性の保全プロジェクトへの支出額は年1億2200万円に上る。
地銀トップは滋賀銀行(321.3)で30位。女性管理職比率は33.4%、有給休暇取得率は86.5%と性別を問わず働きやすい環境の整備を進めている。
証券では7位野村ホールディングス(383.1)が首位。国内外で社会貢献活動を推進し、ボランティア活動の参加者数は7491人に上る。
その他金融業では18位リコーリース(352.3)が最高となった。太陽光発電設備などを用いた売電事業への参入など、ビジネスを通じた再エネ普及を推進する。
なお、金融機関は一般事業会社とは財務の項目が異なるため、「人材活用」「環境」「企業統治+社会性」の3分野に金融機関対象の財務得点を加えて上記ランキングを作成している(ランキングの元データや作成方法などの解説はこちら)。
金融機関に今後求められること
2024年3月に金融庁が「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」を公表し、6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」ではインパクト投資の普及を示唆する一文が加わった。
つまり、金融機関は自社のサステナビリティ関連の取り組みだけではなく、投融資などの本業に関わる分野での取り組みも求められていく可能性がある。資金の「出し手」の変化は一般事業会社にも波及する。本ランキング掲載企業の取り組みの深化にも期待したい。
なお、各企業の取り組みの最新情報は『CSR企業総覧』2025年版(2024年12月上旬発売予定)に掲載予定だ。
1〜25位
(村山 颯志郎 : 東洋経済『CSR企業総覧』編集長)