伊藤淳史(C)日刊ゲンダイ

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 旧ジャニーズ事務所のタレントにこだわる必要はないのではないか。テレビ界にそんな風潮が起こり始めるかもしれない。8月31日、9月1日に放送されたチャリティー番組『24時間テレビ47』(日本テレビ系)の平均視聴率が世帯12.5%、個人7.5%を記録した(ビデオリサーチ調べ=関東地区、以下同)。

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「台風の影響で在宅率が高かったとはいえ、25時間半も放送して平均12.5%は快挙ですよ。今のテレビ局はゴールデンタイムに10%に乗る番組も少なくなっている。テレビの視聴率が急激に落ちている中で、昨年より世帯が1.2%、個人が0.9%もアップして驚きました」(民放関係者)

『24時間テレビ』と言えば、旧ジャニーズ事務所(現・STARTO ENTERTAINMENT)のタレントが2003年以降、毎年メインパーソナリティーを務めてきた。しかし、創業者のジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、テレビ局と事務所の関係見直しが迫られたこともあり、今年はメインパーソナリティー自体が置かれなかった。

「STARTO社からは嵐の相葉雅紀、King&Princeの郄橋海人のみの出演で、例年のような中心的な存在ではありませんでした。それでも、数字を取った。これは業界の中で考え方が大きく変わる契機になるかもしれません」(前出の民放関係者)

 番組内でのスペシャルドラマの配役も激変した。一昨年の浅野忠信(50)を除けば、2006年以降はKAT-TUN亀梨和也(38)以降、旧ジャニーズのタレントが毎年主演を務めていた。しかし、今年の「欽ちゃんのスミちゃん 〜萩本欽一を愛した女性〜」にSTARTO社の所属タレントは1人も出演せず。主演は伊藤淳史(40)だった。そして、世帯15.6%(個人9.3%)と過去3年より高い視聴率を獲得した。

■出演者ありきのおかしな配役

「アイドル顔ではない欽ちゃんの役を旧ジャニーズのタレントが演じていたら、違和感が出て、数字はもう少し低かったでしょう。逆にいえば、今まではおかしな配役が沢山あったんです。それを『ジャニーズとの関係性を考えて』という忖度を優先していた」(前出の芸能記者)

『24時間テレビ』内での放送という利点があるとはいえ、最近のドラマで15.6%はかなりの高視聴率になる。現在は、NHKの大河ドラマやTBS日曜劇場でも何とか世帯2桁をキープしている程度である。

「テレビがつまらなくなった理由の1つに、大手事務所との歪な関係性が挙げられます。強いプロダクションに配慮ばかりして、本質を見失っていた。ドラマは内容よりも先に主演が決まり、バラエティーでも出演者ありきの番組が増えていった。旧ジャニーズが勢力を増した2000年代以降、どんどんそうなっていき、視聴者に見抜かれて全体的に視聴率が下がっていった。テレビは内容が面白ければ見られるし、つまらなければ相手にされない。そんな原点に帰るいい機会ですよ」(前出の芸能記者)

 そうは言っても、誰が出ているかで見る人もいるだろう。

「特に旧ジャニーズには熱狂的なファンがいますからね。でも、声の大きな人が叫んでいるだけ。1人が複数のアカウントで書き込んでいる場合もある。昨今のテレビはやたらとSNSの反応を気にしますが、その裏には辟易している人が沢山いると思います。気にしすぎると、番組作りの方向性を間違えてしまう。ドラマは中身さえ良ければ数字を取れるとずっと言われてきましたが、本当にそうだと証明されました。勇気づけられる結果です」(前出の民放関係者)

 『24時間テレビ』の高視聴率はテレビ界に問題提起を起こしたようだ。

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 旧ジャニーズのタレントを積極的に起用しなかった「24時間テレビ」は、高視聴率を叩き出したものの、やす子(26)のマラソン企画の日産スタジアムの周回コース「75周」は一部で批判も浴びた。●【あわせて読む】もはや「苦行」、「回数ごまかせる」の指摘も…24時間テレビ「やす子マラソン」強行に視聴者ドン引き…もどうぞ。