台風10号は30日、九州北部を横断し、勢力を弱めながら四国へ進んだ。強風や大雨の影響で九州7県では少なくとも2人が死亡、計113人が重軽傷を負い、1人が行方不明となっているほか、道路の寸断や断水が続く地域もある。気象庁は、大雨で地盤が緩んでいる所があるとして、引き続き警戒を呼びかけている。

 降り始めから30日夕までの雨量は、宮崎県えびの市913・5ミリ▽鹿児島県肝付町635・5ミリ▽大分県由布市632・5ミリ▽同県佐伯市616・5ミリ‐などとなった。

 福岡県築上町では川の様子を見に行った80代男性が流されて死亡し、佐賀県鹿島市では29日に神社参道でが倒れていた80代男性の死亡が確認された。鹿児島市の港では60代男性=北九州市=が行方不明になっている。九州では30日午後8時現在、宮崎40人▽鹿児島27人▽福岡22人▽長崎9人▽熊本6人▽佐賀5人▽大分2人‐が重軽傷を負った。このほか、福岡県みやこ町の側溝で30日、高齢女性が死亡しているのが見つかり、町が関連を調べている。

 各地で土砂災害も発生。西日本高速道路によると30日、大分自動車道の由布岳パーキングエリア近くで100メートル以上にわたる土砂崩れがあり一部区間が通行止めになった。宮崎県椎葉村では、倒木などで同村と村外を結ぶ3本の国道が一時通行止めに。同村では配水管が破裂し、断水も続く。熊本県八代市では市道の陥没で一部世帯が孤立した。

 九州電力によると、九州7県では午後10時現在、鹿児島県を中心に約4万7千戸が停電している。

 30日始発から運転を見合わせた福岡市地下鉄や北九州モノレールは順次、運転を開始。JR九州は終日、九州新幹線や鹿児島本線など一部の在来線を運休した。31日は安全を確認次第、運行を再開する。

 気象庁によると、台風10号は30日午後6時現在、愛媛県今治市付近を時速15キロで東北東に進んでいる。中心気圧は994ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は18メートル。9月1日にも熱帯低気圧に変わる見込み。

(台風取材班)

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