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アスリートたちがクレームを寄せ続ける選手村。その食事内容にシェフたちも意見を口にした。(C)Getty Images

「環境への配慮は選手にとって罰みたいなもの。僕は肉が食べたいし、競技で活躍するにも肉が必要。なぜ強制されるのか」(アダム・ピーティ/英男子競泳)

「控えめに言っても食事のレベルは最悪だ」(クリストファー・リュール/独ホッケー男子代表)

「食堂で食べているものは美味しいとは言えない」(ヘズリー・リベラ/米女子体操)

【画像】アスリートたちから批判殺到! パリ五輪選手村の全容をチェック

 いずれも閉幕が迫るパリ五輪の選手村で提供されている食事に対するアスリートたちの苦情の数々である。これ以外にもあらゆる意見がSNSやメディアを通じて発信されているが、その多くは芳しくないものばかり、というのが現状だ。

 身体が資本となるアスリートたちにとって、日々摂取する食事はメダル争いをする上でも重要な要素となる。しかし、「史上最も環境にやさしい大会」を目標に掲げるパリ組織委員会は、CO2排出量や動物福祉の観点から肉料理や乳製品ではなく、野菜や豆、穀物を中心としたビーガンメニューを多く提供。結果的に質と量を欠いた内容となった。

 組織委員会の思惑が多くの反発を招いた感は否めない。だが、クレームを受けながら、選手たちに多くの料理を提供している料理人にも言い分はある。

 今回の選手村でシェフを務めているアクラメ・ベナラル氏は、フランス紙『Figaro』のインタビューで「第一に選手たちは私たちのような食事はしない。だから配慮は必要だった」と持論を展開。その上で食材提供を行っていたフランスのケータリング会社『Sodexo Live!』が批判を受けて食事メニューなどの改善を行ったと指摘し、「どんな実験でも、まず調整が必要なんだ」と強調した。

 あくまで「何事にも調整は必要だ」と意見するベナメル氏は「彼らはほぼ900gのタンパク質を必要としている。一日中運動しているからね。だから、朝から晩まで一日中、誰かしらが食事を食べている。これに我々が驚いたのは事実だ」と語った。

 選手たちの苦情を見聞きする限り、やはり準備不足の感は否めない。ゆえにベナメル氏の発言が、『Figaro』のXで拡散されると、読者から「馬鹿にしているのか」「そこら辺の一般人に食事を与えるんじゃないんだぞ」「責任感が致命的にない」「恥ずかしくないのか」「なぜ大会前の段階で調整しないんだ」「選手たちの準備を台無しにした」「無知を露呈している」と批判の声が殺到した。

 先述のようなクレームのオンパレードとなる理由は、やはり選手村を管理する側の準備不足にあるのかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]