J注目18歳、練習参加経て「プロ夢じゃない」と確信 英移籍内定タレントと並ぶスピードスター
高卒プロを目指す日章学園FW南創太のポテンシャルに注目
日章学園高校(宮崎)に2人のスピードスターあり。
1人はイングランド1部サウサンプトン入りが内定している高岡伶颯。そしてもう1人は右サイドからの切れ味鋭いドリブル突破が魅力のFW南創太だ。高岡に大きな注目が集まるが、日章学園の試合を見ていると、多くの人たちが南のプレーにも目を惹きつけられる。
ドリブルの切れ味は凄まじく、足もとでボールを受けると対峙する相手を牽制してから、爆発的な加速でドリブルを仕掛け、一気に1、2人を打ち抜いていく。特に動きながら繰り出す高速ドリブルの破壊力は凄まじい。
鋭い動き出しから正確なファーストタッチでボールを前に置くと、その時点で1人を交わしており、次のDFを抜きにかかる体勢にすでに入っている。さらに両足から放たれるクロスも正確で、縦突破からの右足クロス、カットインしてからの左足クロスでチャンスを量産する。
今夏のインターハイを迎えるにあたり、高岡が本番1か月前に負傷したことで、南へ大きな期待が寄せられた。1回戦の鵬学園戦ではその思いが少し空回りしたのか、前半はミスが多かった。後半になると徐々にその突破力が効力を発揮し始め、後半途中で4-4-2の右サイドハーフから3-4-2-1の右ウイングバックになると、カットインだけではなく縦突破を見せながら相手を揺さぶり、チャンスを作った。
2回戦の鹿島学園戦では1-0で迎えた前半13分に右サイドで突破を仕掛けると、鋭い切り返しから左足一閃。「最初はクロスを上げようと思ったのですが、GKがちょっと前に出ていたのが分かったので、ファー巻きで触っても触らなくても入るような感じで狙いました」(南)。ボールは鮮やかな弧を描いてゴール左隅に突き刺さった。
3回戦の静岡学園戦では疲労の色も隠せないなかで何度も右から仕掛けた。1-2で迎えた後半アディショナルタイムには自陣で猛プレスを仕掛けてボールを奪うと、そのままドリブルで40メートル近く運んでチャンスを作るが、ゴールにはつながらず。チームはそのまま敗れ、奮闘を見せた南の高校最後のインターハイはベスト16で幕を閉じた。
「原啓太監督から『もっと縦突破を見せないと、カットインはもう読まれてきているぞ』と言われていたので、今大会では縦に仕掛けることを意識してやりました。徐々にバリエーションが増えて、新しい力がついてきている実感があるので、この悔しさをこれからプリンスリーグ九州、選手権とつなげていきたい」
すでにJ2クラブの練習に参加「どんどんチャレンジしていきたい」
手応えと課題を得た南の注目度はこの大会でさらに増した。すでにJ2クラブの練習に参加し、今後もJ1クラブの練習に参加する予定で、高卒プロを目指す彼にとって重要な局面になっている。
「プロの世界はスピードが全然違うし、かつ強度が高い。課題だらけでしたし、キツイなと思うところはありましたが、めちゃくちゃ楽しかった。僕も伶颯のように向上心と覚悟を持ってやればプロは夢じゃないと思うので、まずは自分の長所を磨きながらどんどんチャレンジしていきたいと思います」
ドリブルのキレとクロスの質、そして中も縦も質を落とさずに仕掛けられる能力、そして何より高いレベルの環境を楽しめるメンタリティーがあれば、十分にJリーグでも通用する存在だ。インターハイでは悲願の全国制覇はできなかったが、まずは個人の夢を掴み取ってから、冬の舞台で高岡とともに躍動することを思い描きながら、重要な夏を1秒も無駄にすることなく前に進んでいく。(FOOTBALL ZONE編集部)