お値打ちのうなぎを求めて行列ができる噂の店など、注目の14店〈大木淳夫の7月の新店アドレス〉

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グルメ本編集長として数々の名店を訪れる大木淳夫さん。毎月たくさんの飲食店がオープンする中で、大木さんが「これは!」と思った新店をずらりと紹介します。

教えてくれた人

大木淳夫

「東京最高のレストラン」編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。 好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2024」が発売中。

「ダ オルモ」の魅力的な姉妹店と「ブリアンツァ」の新イタリアン

早くも阿佐ケ谷の街に溶け込む良店

いいイタリアンに出会うと、なぜかお酒が進みませんか? 6月19日、阿佐ケ谷にオープンした「インプロンテ」はまさにそんなお店です。創業から13年目となる神谷町の名店「ダ オルモ」の姉妹店。6年間、北村征博シェフの薫陶を受けた石田竜一シェフのワンオペ・カウンターレストランです。

京中 熟成豚のボロネーゼ タリアテッレ 撮影:大木淳夫

4,180円のコースもありますがアラカルト主体。石田シェフが雰囲気に惚れたという阿佐ケ谷の街並みに早くも溶け込んでいて、ひとり客が予約無しでどんどん訪れ、おいしい料理とお酒を楽しんでいました。店内には、伝説のシェフ・澤口知之さんの「ラ・ゴーラ」や「アモーレ」で使われていたグラスやお皿もあり、オールドファンはうれしくなると思います。


<店舗情報>
◆impronte
住所 : 東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-27-5
TEL : 03-5356-6306

ハーブとスパイス使いが巧みなイタリアン

7月15日、六本木一丁目のアークヒルズにオープンした「erba」は、「Brianza 6.1」がリニューアルしたイタリアンです。

セビーチェ〜青トマトのガスパチョソース 撮影:大木淳夫

ブリアンツァグループのオーナーシェフ、奥野義幸さんと若き神谷隆太郎シェフが考案したのは多彩なハーブ、スパイスを使った料理の数々。王道のイタリアンに混じって、中華のローストナッツをアクセントにした中東料理のフムスや、タヒニソースの茄子のロースト、タイのバイマックルーを使った海老のパスタなど、そそられる料理が並びます。ジャンルに拘らず、貪欲においしさを追求する奥野シェフならではの仕掛け。気軽に楽しめる雰囲気と値段なのもいいところです。


<店舗情報>
◆erba
住所 : 東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワー B1F
TEL : 03-5545-5025

東西のソウルフード、もんじゃと焼きそばの注目店

あの変わり種もんじゃが浅草に

7月16日、ついにあの革命的もんじゃが本場・浅草に逆上陸しました。「もんじゃ加とう」は 代々木公園の「おそうざいと煎餅もんじゃ さとう」 が 、多店舗展開の「月島もんじゃ もへじ」とコラボして誕生したお店です。

マル・デ・マルゲリータピッツァもんじゃ 撮影:大木淳夫

もんじゃさとうはグルメ業界の奇才と呼ばれる佐藤幸二さんが2017年にオープン。もんじゃの基本は守りながらも、タイ、ロシア、ノルウェーなどの料理を巧みに取り入れ話題に。多くの食通や芸能人が通う店となりました。とはいえ3卓しかなかったため予約困難でしたが、こちらは1、2階合わせて15卓。名作「発酵羊肉もんじゃ」や「夢のわくわくタイランドもんじゃ」などをゆったりとした店内で味わえます。8割がグルテンフリーのもんじゃなので、インバウンド需要も高そうです。


<店舗情報>
◆もんじゃ 加とう
住所 : 東京都台東区浅草1-17-10
TEL : 03-5830-3332

目でも楽しむ鉄板焼きそば

6月21日、 西葛西駅高架下にオープンしたのは、神戸市長田区のソウルフード焼きそばを提供する「長田本庄軒 メトロセンター西葛西店」です。昼は大行列との噂を聞き、早めの夕方に。肉豆腐やどて焼きをアテにビールを飲みつつ、目の前の鉄板で作られる焼きそばを眺めるひと時は極楽。

ぼっかけ焼きそば 目玉焼き  出典:ウナギヤナギさん

一番人気という「ぼっかけ焼きそば」は、むちむちの自家製麺に牛スジ肉とこんにゃくの煮込みを絡めて仕上げる、とても濃い甘辛さが特徴的な一品でした。経営は「丸亀製麺」のトリドールなので、オペレーションもスムーズです。


<店舗情報>
◆長田本庄軒 メトロセンター西葛西店
住所 : 東京都江戸川区西葛西6-14-2 西葛西メトロセンター1番街
TEL : 03-6808-9250

開業した「渋谷アクシュ」のイタリアンと塩料理店

葉山発、使い勝手のいいイタリアン

7月8日に開業し、渋谷と青山をつなぐ大型施設として話題の「渋谷アクシュ」。その2階(とはいえ坂の途中なので実際には路面店)にオープンしたのがイタリアン「TRATTORIA PIZZERIA 207 渋谷店」です。

しらすペペロンチーノ  写真:お店から

葉山にある同名の一軒家レストランの姉妹店なので、相模湾で上がった新鮮な魚のメニューなどを楽しめて、しらすのペペロンチーノは夢中になる味でした。ピッツァはマルゲリータをいただきましたが、電気窯とは思えないクオリティとバランス。11時からの通し営業で、ランチタイムでも夜のメニューが楽しめるというのはうれしいところ。カジュアル過ぎず華やかさもあり、あまり渋谷に無かったタイプのイタリアンで、人気が出そうです。


<店舗情報>
◆TRATTORIA PIZZERIA 207 渋谷店
住所 : 東京都渋谷区渋谷2-17-1 渋谷アクシュ 2F
TEL : 050-5593-8725

10種の塩で食べ比べ

同じく2階の「塩・酒・肴 中井商店」は日本橋小舟町にある塩専門店の新業態で、卓上にはカレー、ハーブ、抹茶など10種の塩が並びます。ランチでうかがいましたが、まずお通しとして茹で卵が。これで各種の塩を楽しんで、という趣向です。最近、さまざまな“味変”の仕掛けがありますが、さすがに10種類もあると楽しい。

日本橋鶏天定食 撮影:大木淳夫

柔らかい鶏むね肉の「日本橋鶏天定食」をオーダーして、まずは一番人気の「極塩」を。次に「辛塩」をかけて、口直しに「レモン塩」。やっぱり肉にはこれだとばかりに「肉に良く合うクミン塩」をかけてみたり……。夜は居酒屋として焼鳥や餃子を提供しているようで、餃子と塩、試してみたいです。


<店舗情報>
◆塩・酒・肴 中井商店
住所 : 東京都渋谷区渋谷2-17-1 渋谷アクシュ 2F
TEL : 03-6427-4558

赤坂にはあのグループのうなぎ店と若いコンビの“旨いものレストラン”が

お値打ちのうなぎを狙って早くも行列が

7月19日、鮨で有名な(株)ONODERA GROUPが、赤坂の一ツ木通り沿いにオープンしたのは「薪焼うなぎ 銀座おのでら 本店」です。5月の新店アドレスでは、表参道のラーメン「麺 銀座おのでら 本店」を紹介しましたが、今度はうなぎ。

うな重 並  写真:お店から

ランチにうかがったところ開店10分前で列の4人目。そしてオープン時にはずらっと行列が。1/2尾のうな重(並)が2,200円というのは、だいぶお得な値段です。国産の養殖ものを薪火で仕上げるうなぎは、蓋を開けた瞬間に食欲を刺激する香りが漂います。タレは甘みを感じるオリジナル。普通に食べてももちろんおいしいですが、ご飯に卓上の山椒を振り、小皿の甘酢しょうが(いわゆるガリです)をのせ、そこにうなぎを被せて食べてみてください。おすすめです。ちなみに夜は多彩なサイドメニューとお酒を楽しめるようです。


<店舗情報>
◆薪焼うなぎ 銀座おのでら 本店
住所 : 東京都港区赤坂4-2-8 カランドリエビル 1F
TEL : 050-5593-4913

フレンチと和の“ちょうどいい”融合

「Restaurant イト」は同じく赤坂の雑居ビル4階に5月20日にオープンした“旨いものレストラン”です。4月に永田町に移転した「CHIUnE」で出会った、共に愛知県出身の若きフレンチと和の料理人がタッグを組み、アラカルトを中心とした料理を提供します。

イトシチュー 出典:みすきすさん

双方の技法が合体した結果がイノヴェーティブではなく、魅力的でわかりやすい料理になっているのがいいところ。ぜひカウンターでシェフと会話を楽しみながら食べたいものをオーダーしてください。限定10食の「イトシチュー」は牛のすね肉に豚のミンチを入れて煮込んだ、シチューというより濃厚なハンバーグで、食べ応えありです。


<店舗情報>
◆Restaurant イト
住所 : 東京都港区赤坂3-12-10 赤坂サンビル 4F
TEL : 050-1720-7101

フランス料理好きにたまらないアラカルトの2店

クラシカルなフレンチを気軽に

広尾駅からすぐのマンション2階に5月9日オープンした「Les six(レ シス)」はアラカルトで楽しめるビストロです。シェフは生まれも育ちも広尾という、41歳の丸山裕太さん。北海道の富良野に移転した名店「ル・ゴロワ」でも修業経験があり、メニューには同店の定番「グレープフルーツのプリン」が。ル・ゴロワファンは駆けつけるべきでしょう。

イワシとじゃがいものトゥルト 撮影:大木淳夫

イワシとじゃがいものトゥルト(パイ包み)、根セロリのレムラード、ベアルネーズソースのステーキといったクラシカルなフランス料理をカジュアルにいただける、うれしいお店ができました。


<店舗情報>
◆Les six
住所 : 東京都港区南麻布5-15-25 広尾六幸館 2F
TEL : 03-6826-2764

新店ながら既に安定感抜群

外苑前で5月27日にオープンした「tangent」もアラカルトのお店です。川島大輔シェフは「モナリザ丸の内店」「レストラン・ヒロミチ」などの人気店を経て、「ビストロ・ティロワ」で6年連続ビブグルマンを獲得した実力者。それだけにワンオペながら安定感は抜群。

イワシとじゃがいものパートブリック包み焼き 撮影:大木淳夫

「Les six」はパイ包みでしたが、こちらのイワシとじゃがいもはパートブリックの包み焼き。「ラ・ブランシュ」には「イワシとジャガイモの重ね焼き トリュフ風味」という大傑作がありますが、このふたつの食材は最高の組み合わせなのでしょう。メニューは多彩でどれも悩むほど魅力的。フレンチでアラカルトの素晴らしいお店が増えてきたことはなによりです。


<店舗情報>
◆tangent
住所 : 東京都渋谷区神宮前3-1-25
TEL : 不明の為情報お待ちしております

常連になりたい実力派の和食店と使える創作居酒屋

ますます流行る? 「コース+α」スタイル

「白金 芯」は、イタリアン「ロッツォシチリア」などがある「四の橋」交差点付近のグルメエリアに、6月2日にオープンしたカウンターの和食店です。コース11,000円でまず5品を楽しんだ後、14品ほどある魅力的なアラカルトメニューから、好きな料理を追加でオーダーするシステム。「太いち」「銀座呑小路やま岸」なども同様で、この流れは広まりそうです。

揚げ穴子と新生姜の土鍋ご飯  出典:えこだねこさん

ご主人の前田亮さんは香川県出身。1829年創業の名門仕出し料理店、京都「菱岩」で修業後に銀座「割烹室井」(現在乃木坂に移転)へ。その後「酒井商会」から系列の「創和堂」で料理長を経ての独立です。この前田さんのお人柄がよく、初めてでも安心して楽しめます。高額化が進む日本料理ジャンルの中で、うれしいお店ができました。


<店舗情報>
◆白金 芯
住所 : 東京都港区白金3-2-3 白金金春ビル 1F
TEL : 070-9013-3094

圧巻のビジュアル! 麻婆チャーハン

7月1日、六本木にオープンした「八味(Yummy)」は、極めて使い勝手のいい創作居酒屋です。店内にはなんとドッグルームあり、小型犬同伴OK。VIPルーム、コンパクトながら居心地のいい4人向け個室、さらにカウンターも。

八味麻婆チャーハン 撮影:大木淳夫

料理長は「TVチャンピオン」のお好み焼き選手権で優勝経験のある「どれ味」創業者の平野信英さん。ですので「TVチャンピオンのどれ味焼き」というメニューもありますが、個人的には中央の麻婆豆腐をチャーハンがのったレンゲがぐるりと囲む「八味麻婆チャーハン」に痺れました。ちなみにお茶目な平野料理長のおすすめは、某有名俳優が絶賛したという「くるみ蕎麦」です。スタッフもフレンドリーで、グループで訪れると相当盛り上がると思います。


<店舗情報>
◆八味
住所 : 東京都港区六本木3-14-14 Vort 六本木 Briller briller 8F
TEL : 050-5593-8748

人気中華の肉まん店とオーストラリア発の映えるどんぶり専門店

モダン町中華が生み出した、魅惑の肉まん

富士桜ポーク肉まん、パクチーまん、塩あんまん 撮影:大木淳夫

7月8日、代々木上原にオープンした「REI STEAMED BUN」はテイクアウトの肉まん店です。同エリアで2020年に開業し、モダンな町中華として人気の「REI Chinese restaurants」の新業態。富士桜ポーク肉まん(400円)、パクチーまん(420円)、塩あんまん(380円)を購入しました。冷蔵なので電子レンジや蒸し器で温めていただくスタイルです。餡はさすがのクオリティとボリューム。特に割った瞬間、その香りにうっとりするパクチーまんは驚きでした。製造が追いつかないということで売り切れだったキーマカレーまんもぜひ次回は食べたいところ。近所にはロケ弁で有名な「金兵衛」や、「食べログ パン TOKYO 百名店」の「Boulangerie et Cafe Main Mano」もあるので、お持ち帰りグルメは代々木上原、おすすめです。


<店舗情報>
◆REI STEAMED BUN
住所 : 東京都渋谷区西原3-1-4 トライアングル 1F
TEL : 03-6451-5523

映えと味を両立、オリジナリティあふれる丼

6月30日、表参道にオープンした「Juan Bowl & Tea Tokyo」はオーストラリア・シドニー発のオシャレな丼専門店です。オーナーシェフの石黒杏奈さんは、シドニーで2017年にこちらの1号店を開き、行列ができるほどの人気店になったそうです。

くちどけポークとんかつ御膳  出典:初代タタカエラーメンマンさん

丼は和牛、鰻、とんかつ、海南鶏飯の4種。とんかつ御膳とペアリングのオーガニックレモンマートル茶をオーダーしましたが、どの丼もオリジナリティに溢れているので、あと3種もぜひ食べてみたいと思いました。2人以上で行ったほうがいいかもしれません。


<店舗情報>
◆Juan Bowl & Tea Tokyo
住所 : 東京都港区北青山3-7-1 カオスビル 1F
TEL : 050-5594-1138

※価格は税込です

文:大木淳夫

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