ヤクルトのドミンゴ・サンタナ(31)とホセ・オスナ(31)。同い年で仲良しの助っ人2人が、来季からの大型契約に合意したと球団が発表した。

【写真】ヤクルトが虜になった、オスナの極太の「腕」

 ともに来日4年目の2人は、1年目から安定して数字を残し、今年もサンタナは目下首位打者&打点王、オスナもサンタナと並んで打点王(6月24日現在)。ただいくら絶好調とはいえ、シーズン半ばにスピード決着したのはなぜか。裏には3つの訳がある。

「1つ目は、強奪の恐れです。複数年契約が切れる今オフを見据えて、ソフトバンク、巨人など複数の球団が早くから水面下で探りを入れていた。ヤクルトは2021年、22年の連覇にも大貢献した優良助っ人を奪われないように警戒を強めていた。今季の推定年俸はオスナが3億円、サンタナが3.6億円で実績からすればやや安価。来季からは大幅昇給で2人合わせて3年で約27億円。出来高も手厚いものになっていて、総額30億円規模のようです」(球団OB)


ドミニカ共和国出身のサンタナ ©時事通信社

「助っ人のお値段が、10年前と比べると約2.5倍にまで高騰」

 2つ目に「使える外国人選手がなかなか来日しなくなった」という事情がある。セ・リーグ某球団のフロントが明かす。

「助っ人のお値段が、10年前と比べると約2.5倍にまで高騰しています。近年の円安が大きく影を落としているのは言わずもがな。おまけにメジャーの最低年俸が11年の約41万ドルから、今では74万ドルにまで上がっているのが痛い」

「若手も日本球界には目もくれないんですよ」

 確かに今の為替レートなら、最低年俸が1億円を優に超えている。

「一昔前は『稼ぎたければ日本へ行け!』と勧める代理人も多かったのですが、今は海を渡って異文化の国にわざわざ来る必然性がない。結果、実績十分のベテランはもとより、若手も日本球界には目もくれないんですよ」(同前)

 今回、金額面だけで見れば他球団のオファーの方が高かった可能性もあるが、ヤクルトは住環境など付帯条件も大サービスして口説き落としたといわれている。それを可能にしたのが“3つ目の訳”、親会社の好調だろう。

「5月に発表された24年3月期決算では、売上高は5000億円を突破、経常利益も793億円といずれも過去最高を連続で更新しています。コロナ禍以降、免疫力アップやストレス緩和がキーワードになる中、『Yakult1000』の販売が好調を続けているのも大きい」(経済誌記者)

 かつてはペタジーニ、ラミレスを巨人に奪われ、バレンティンをソフトバンクにさらわれるなど、優良助っ人の草刈り場だったヤクルト。強奪への免疫力はずいぶんアップしたようだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年7月4日号)