キリンビールの新シリーズ「氷結mottainai」の第1弾「キリン 氷結mottainai 浜なし(期間限定)」(350ml缶・500ml缶)が好調だ。「mottainai=もったいない」とネーミングしたように、果実のフードロスを削減して農家支援に繋げる新プロジェクト。同社は約18万ケースを販売することで「浜なし」2.2万個のロス削減、約400万円を寄付することを目標に掲げていたが、2024年5月7日の発売後まもなく早期目標を達成した。発売初週の出荷数量が、直近3年の同社発売のRTD(缶チューハイや缶ビールなど、ふたを開ければそのまま飲めるお酒のこと)限定品の中で最多を記録した大ヒット商品の魅力に迫る。

キリンビールの新シリーズ「氷結mottainai」の第1弾「キリン 氷結mottainai 浜なし(期間限定)」(350ml缶・500ml缶)が好調だ。「mottainai=もったいない」とネーミングしたように、果実のフードロスを削減して農家支援に繋げる新プロジェクト。同社は約18万ケースを販売することで「浜なし」2.2万個のロス削減、約400万円を寄付することを目標に掲げていたが、2024年5月7日の発売後まもなく早期目標を達成した。発売初週の出荷数量が、直近3年の同社発売のRTD(缶チューハイや缶ビールなど、ふたを開ければそのまま飲めるお酒のこと)限定品の中で最多を記録した大ヒット商品の魅力に迫る。

気軽に社会貢献できる缶チューハイへの期待

「キリン 氷結mottainai 浜なし(期間限定)」は、規格外のため廃棄されてしまう横浜のブランド梨「浜なし」を使用。1本売り上げるごとに1円が生産者へ寄付され、購入することで誰でも簡単に社会貢献できる仕組みを実現化した「氷結mottainai」。このサステナブルな商品は、普段「氷結」を手に取らない、環境問題に関心のある層や社会貢献をしたい人を巻き込み、直近の「氷結」限定品の出荷平均との比較で約1.2倍の出荷実績となった。好調な売れ行きだが、そもそもどんなことがきっかけで生まれたのだろうか。

普段「氷結」を手に取らない人にもリーチした新商品

廃棄される「モッタイナイ果実」の総量は20~30 万 トン

近年、果実農家が抱える課題は増えるばかりだ。農林水産省の資料によると、未出荷の果物を「廃棄果物」と定義した場合、年間で平均約 20~30 万 トンにも上る。この10 年間ほとんど同じ量で推移しており、 生産現場でのフードロスは根深い問題だ。

「キリン 氷結mottainai 浜なし」 のパッケージ 画像提供:キリンビール株式会社

一方で「PwC Japanグループ」の「新たな価値を目指して サステナビリティに関する消費者調査2022」によると、日本でのSDGsの認知は高まりつつあるものの、サステナブルな商品の購入は「身近でない」ことを理由に、低いことがわかっている。そこで、キリンビールは定番商品であり、親しみやすい「身近」なイメージの「氷結」ブランドを介して、企業として果実農家支援を行う取り組みをスタートさせた。

飲むだけで社会貢献!SDGs を身近な存在に

規格外の「浜なし」画像提供:キリンビール株式会社

「日本各地においしい果物があるのに知られておらず、規格外というだけで捨てられてしまう実情に対し、本当にもったいないなと感じていました。そこで、その果実を使ってフードロス削減に貢献し、全国の皆さんに日本各地の果実をお届けしたいと思い、商品の開発に至りました。『キリン氷結mottainai』を楽しみながら手軽に社会貢献できることを知っていただき、SDGs を身近に感じていただけたらと思っています」と、キリンビール氷結ブランド担当の山岡加菜さんは商品化の背景を説明する。

みずみずしい浜なしの果実感がほとばしる、爽やかな一杯

実際に「キリン 氷結mottainai 浜なし」を手に取ってみたが、驚くほどみずみずしい果実感に思わずはっとさせられた。木の上で完熟させた浜なしそのものの甘みや爽やかな酸味を、そのまま体現したような缶チューハイである。すっきりとした後味もクセになり、実は取材後、何度も家飲みでお世話になっている。お世辞なしで飲みやすく、ハマりやすい味わいだ。

「ペアリングとしておすすめなのは、香ばしさが好相性なナッツや、燻製の香りと梨のマリアージュがたまらないサラミや生ハム、ダブルで果実の風味が味わえるドライフルーツなどです。もちろん魚やお肉にも合わせやすいチューハイとなっています」(山岡さん)

横浜の「浜なし」約2万2000個分のフードロスを削減

同製品には横浜産の「浜なし」のみを使用しているが、第1弾に選んだ理由はなんだったのか。

横浜にある「浜なし」の農園 画像提供:キリンビール株式会社

「氷結は誕生から果実のみずみずしいおいしさを大切にしているブランドでした。その為、
みずみずしくて甘みのある浜なしは、非常に相性が良かったですね。キリンビールの発祥の地が横浜だったので、同じエリアの梨であったことにもご縁を感じています。横浜の梨生産量は約1440tほどですが、通常年で流通量の5%ほどが廃棄、多発年だと20%程度の廃棄が出る状況でした。当商品によって、浜なし約2万2000個分のロス削減を目指していましたが、今回早々にその目標を達成することができました」(山岡さん、※データは横浜市のホームページ参照)

今後は廃棄予定の果実を年間 150t削減を目指す

地域の果実農家の支援と認知拡大、そして各地のおいしい果物を味わってもらうことを目的に、これからも対象となる果実はすべて地域特産のものを使用する予定だ。

「今後のキリン氷結mottainaiについては、現在企画中ではありますが、同様にフードロスを減らし、いつも支えられている農家の方々に貢献できる商品を予定しております。継続して全国の果実農家さんを支援し、2027 年には廃棄予定のモッタイナイ果実を、年間 150t削減することを目指していく予定です」(山岡さん)

中高年に加え若年層とも親和性が高いとされる「キリン 氷結」シリーズ。気軽に社会貢献が叶うおいしさを兼ね備えた製品が浸透することで、SDGsに対する意識がもっと高まっていくのではないだろうか。

「キリン 氷結mottainai 浜なし」画像提供:キリンビール株式会社

■「キリン 氷結mottainai 浜なし(期間限定)」
発売地域:全国
容量・容器:350ml缶、500ml缶
価格:オープン価格(350ml缶1本の想定価格は税込み179円、500ml缶は同240円)                                    
アルコール分:5%

文/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験し、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。