前後半で別の顔 浦和L、ポゼッション→パワー型サッカー移行に自信「どっちもできるのは強み」
WEリーグ最終節ベレーザ戦は3-3ドロー
三菱重工浦和レッズレディースは、5月25日に行われたWEリーグ最終節で日テレ・東京ベレーザに3-3で引き分けた。
2点ビハインドを後半で追いつく形になったが、1つの戦い方にこだわらない強みが生かされるゲームになった。
浦和は前半の立ち上がりにDF高橋はながパスコースを探している瞬間を相手FW鈴木陽に奪われて失点。さらにセットプレーで1点を失うと、MF清家貴子が1点を返したものの前半終了間際にはクロスを高橋がクリアしきれなかったところから3点目を奪われた。それでも後半に高橋をFWに上げて2トップに変更するとロングボールを生かしながら押し込み、セットプレーからのゴールと清家の同点ゴールで引き分けに持ち込んだ。
ハーフタイムの時点で3人の選手を代え、トップ下で変化を着けられるMF塩越柚歩や若手期待のMF角田楓佳を下げ、経験のあるMF栗島朱里とDF長船加奈を入れてフィジカルの強い高橋を2トップの一角にシフト。サイドバックも上下動の得意なDF佐々木繭に入れ替えた。そして後半は風上も利してロングボールを前線に入れ、FWが収めるところに合わせてラインを上げるパワー型のサッカーへと一気に変更した。
優勝を決める過程ではポゼッションで押し込んでコンビネーションで相手守備を突破する形が多かったが、全く違う表情のチームになった。清家は「自分たちはどっちもできるのが強み」ととして、「80分くらいで2点差だったけど、絶対に追い付くだろうなと思っていた」と話した。
また、栗島が「2トップにしてトップ下がいなくなるので、FWに当てるボールに早くサポートしてセカンドボールを拾うこと。そこでマイボールにすれば流れがくると思っていた」と話し、全体の意図に合わせて個々のプレーも順応させていた。
ポゼッションの取り合いだった前半は、3バックで噛み合わせの違う部分も生かしながらベレーザが優位性を見せていただけに、前後半で全く違うスタイルに変えることのできたことが浦和の逆襲につながった面があり、そうしたバリエーションがリーグ戦で22試合で勝ち点57、55得点という好成績につながった部分があるだろう。
記者会見場の外から、会見を終えたベレーザの松田岳夫監督による「うちはパワープレーに弱い」という声が聞こえてきた。その意味でも、今季の浦和が見せた強みの1つが象徴的に出たゲームが最終節だったと言えるのかもしれない。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)