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コンビニのセルフコーヒーでレギュラーサイズを購入したのに、それより高額なラージサイズの分量をわざとカップに注いだなどとして、窃盗罪で逮捕されたり、勤め先から懲戒免職されるケースは各地で発生している。

こうしたセルフコーヒー窃盗の「被害者」であるコンビニ側は、どのように対処しているのだろうか。コンビニ店のオーナー2人が取材に答えた。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

●「いきなり逮捕ではなく、注意してほしかった」加害者サイドの言い分が話題に

セルフコーヒー窃盗で現行犯逮捕され、懲戒免職処分を受けた元公務員の60代男性が弁護士ドットコムニュースのインタビューに次のように答えている。

「やってしまった立場で言うのは大変厚かましいが、店は私の過ちに気づいたときに注意してほしかった。そしたら不足分の金額を払っていたし、二度とやらなかった」

「買ったもの以外は注げないような仕組みにしたり、そもそも店員さんが注いでくれるような形であれば、間違いは起きない。コンビニや経営者には、犯罪者を出さないような努力をしてもらえないかと思っている」

「犯罪だと明確にわかっていれば、私はやらなかった」

・レギュラー買ってラージ注いだ…コンビニコーヒー「窃盗」で懲戒免職の元公務員「犯罪者を出さない仕組みにならないか」(20240406日)

https://www.bengo4.com/c_1009/n_17432/

こうした発言内容には、賛否の意見が多く寄せられた。

コンビニの現場では「セルフコーヒー窃盗」にどのように対処し、加害者側の言い分をどのように受け止めているのだろうか。コンビニ店のオーナーが取材に応じた。

●コンビニオーナー「多くの人は間違えても伝えてくれる」

大手コンビニのフランチャイズオーナーの女性Aさんは、客がコーヒーをわざと入れるのではなく、入れ間違えることはよくあると話す。

「多くのお客さまは間違えてしまったことを店員に伝えてくれます。何度もわざと間違えるのはやはり悪質で、それを店側のせいにするズルさが犯罪を起こしたのだと思います」

別のコンビニチェーンを経営する女性Bさんのコンビニでは、客による不正行為を店側が把握できる仕組みではないという。あくまで、目視によって、不正を確認することができるそうだ。ただ、これまで目撃したことはないという。

Bさんは、仮に目撃したとして、注意こそすれ、警察に被害を届けることはないだろうと話す。

被害を届けたとして、警察で詳細に話を聞かれるとなると、何時間も"拘束"されることから、その間の人件費には見合わないと説明する。

●「防犯カメラに犯行の映像あるが、それでも警察に行きません」

最近、Bさんの店のセルフレジで「カゴ一杯の商品を半分もレジを通さず万引きする人」がいたという。

店全体で警戒していたものの、店側が犯行に気づかないないうちに、その人は店を後にしてしまったそうだ。

「これも防犯カメラの映像がガッツリ残ってますが、警察に訴えたりしてません。とりあえず、本人と話したいのと、警察に行くと何時間も拘束されるためです」

こうしたことを踏まえれば、「コーヒー窃盗」を見つけたコンビニが警察に届けるのは、「金額の問題や、犯罪だからと言うことより、窃盗された悔しさというか、感情的なもの」が理由なのではないかとBさんは推理する。

さらに、「人手不足が深刻で、どんどんセルフ化が進むので、こういう事案が増える」との危惧を持っているという。

●小さなサイズのカップに大きなサイズの分量が入ってしまうのが「一番の問題」

AさんとBさんの2人には、他にも共通する意見があった。

コンビニ本部には、犯罪行為のできない仕組みを作ってほしいという考えだ。

「被害に遭うのも、トラブル対応のコストを払うのも加盟店なので、本部もそういうことができない仕組みを作ってほしいと私自身も思います」(Aさん)

「そもそもSサイズのカップにMサイズの量が入るのが一番の問題だと思います。レシートにQRコードなどを印字して、それを読み込むと自動で注がれるなどもできるかと思いますが、カップを変更するのは、見映えの問題もあるかと思いますし、レシートに印字はコストがかかりすぎて無理かもしれません」(Bさん)

「何も対策をしない販売者にも責任はあるかと思うので、販売側は『万引きされないように』、お客さま側は『万引きしないように』、お互いが努めることが大切ではないでしょうか。

販売してる側として、警察に訴えたくなるのはすごくわかります。ただ、もし、注意もせずにいきなり訴えたのだとしたら、少しやり過ぎなのでは?とも思います。

ただ、この記事の方(編集部注:元公務員の男性)は、自分でも仰ってますが、『やった側』がそれを言ってはいけません」(Bさん)

先のAさんも「コーヒーは金額的に安いから店側のせいにしたくなるのかもしれませんが、罰せられると知っていれば(やらなかった)とか、それを自分の子どもの前でもできますか」と厳しく断罪した。