関西出身の部下に「イントネーションがおかしい」「癖が強いよね」会議で批判 方言ハラスメントでは?
「話し方」を上司が否定することはパワハラになりませんかーー。
弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられた。
自身は「関西人」だという相談者。愛知県内の会場で会社の上司と顧客に対してプレゼンテーションをしたところ、上司から後日、他の社員もいる会議の場で「君のプレゼンでの話し方はイントネーションがおかしくて癖が強いよね。自覚してないだろうけどさ」と言われた。
相談者によると、顧客からはプレゼンを評価されており、注意されるほどひどい話し方だったかは疑問だと言う。「個人で言われるならともかく、(ほかの人もいる)会議の場で指摘するのはパワハラではないですか?」と質問を寄せた。
方言を揶揄して嫌がらせをする「方言ハラスメント」「ダイハラ」(ダイアレクト・ハラスメント)という言葉もある。このケースのように他の社員らがいるような場で、相手の話し方を揶揄するような行為はパワハラに当たるのか。労働問題に詳しい村松由紀子弁護士に聞いた。
●「業務上必要かつ相当な範囲」を超えているか
パワハラとは、職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの要素を全て満たすものをいう、とされています。
ご相談者さんのケースでは、このうちの(2)、すなわち、業務上の必要性はあったとして、意見の内容や伝え方が適切であったかどうかが問題となります。
相談者さんのおっしゃる通り、何らかの指摘をするのは、個別の方が良いとは思います。しかしながら、他の社員がいる場であっても、「イントネーションがおかしくて、癖が強い」と述べる程度は、相当な限度を超えているとまでは認められないと考えます。
●方言に関連させた人格攻撃はアウト
どのレベルであればパワハラとなるかについては、他の社員の前で大声で長時間叱責する、「イントネーションがおかしいのは人間としてダメだ」などと人格攻撃をする、等の行為がパワハラに該当するのは明らかです。
イントネーションを何度も言い直させる、方言を直すように指導するなどの行為もパワハラに当たると思われます。
パワハラは、優越的な関係を背景とした言動ですので、一般的には上司が部下に対してすることを予定していますが、例えば集団での嫌がらせの場合は、加害者が同僚や部下であってもパワハラと判断される場合もあります。
【取材協力弁護士】
村松 由紀子(むらまつ・ゆきこ)弁護士
弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍する他、社会保険労務士4名、行政書士1名が所属。企業法務を得意とする。その他、交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題を幅広く扱う。
事務所名:弁護士法人クローバー
事務所URL:https://clover.lawyer/